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消費税(その2)-個別対応方式と一括比例配分方式

前回に引き続き消費税の改正についての内容を改めて確認していきます。

1.個別対応方式と一括比例配分方式の概略

(1)個別対応方式

「個別対応方式」とは、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額のすべてを、以下の三区分に区分し、次の算式により計算した仕入控除税額をその課税期間中の課税売上げに係る消費税額から控除する方法

<区分>
①課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
②非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
③課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの

<算式>
仕入控除税額=①+(③×課税売上割合)

(2)一括比例配分方式

課税仕入れ等に係る消費税額を一括して課税売上割合によって按分し、それにより算出された消費税額を仕入税額控除の対象とする方法です。

一括比例配分方式による仕入税額控除額を算式で示すと以下のようになります。

<算式>

仕入控除税額=課税仕入れ等に係る消費税額×課税売上割合

(3)両者の選択期限

今回の消費税改正によって控除対象外消費税が生じることとなった会社の場合、個別対応方式を採用するか、一括比例配分方式を採用するかの選択は、確定申告書の提出時に行うこととなっています。したがって、それまでに、両方式のメリット・デメリットを考慮して採用する方式を選択すればよいということになります。

ただし、個別対応方式を採用する場合、個々の取引について三つの区分に分類しておかなければならないため、現実的には事業年度が開始される前にどちらの方式を採用するかを決定しておく必要があると考えられます。

個々の取引について、取引の区分が行われていない場合には個別対応方式を採用することはできませんが、逆に個別対応方式を採用可能な状態にある会社が一括比例配分方式を採用することは可能です。

2.個別対応方式および一括比例配分方式のメリット・デメリット

(1)個別対応方式のメリット・デメリット

①メリット
一般的に個別対応方式によって計算したほうが税額上有利になることが多い
②デメリット
事務負担が重い

(2)一括比例配分方式のメリット・デメリット

①メリット
個別対応方式と比較して事務処理負担が軽い
②デメリット
・一括比例配分方式を採用した場合、2年間は継続して一括比例配分方式を採用しなければなりません。ちなみに、個別対応方式から一括比例配分方式への変更については特に期間の縛りはありません。
翌事業年度に土地や有価証券の譲渡等で多額の非課税売上が発生することが見込まれるような会社については判断を慎重に行う必要があります。

私だけかもしれませんが、有価証券の売却はうっかり考慮を忘れそうなので、リマインド必要だと感じました。

・一括比例配分方式を採用した場合、課税売上割合に準ずる割合の適用が制限されます。

課税売上割合に準ずる割合の適用というのは、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合で一定の要件を満たした場合に「課税売上割合」に代えて「課税売上割合に準ずる割合」を用いることができるという制度です。

この「課税売上割合に準ずる割合」を用いるためには、以下の要件を満たす必要があります(消費税法30条3項)

①その事業者の営む事業の種類又はその事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類に応じ合理的に算定されるものであること
②「課税売上割合に準ずる割合」を用いることにつき、その納税地を所轄する税務署長の承認を受けたものであること。

詳細は別の機会に譲りますが、例えば、通常であれば課税売上割合が100%に近い会社が、たまたま土地の譲渡を行ったため課税売上割合が著しく低下したというような場合には、「課税売上割合に準ずる割合」の適用(申請)を検討する必要があるといえます。

そして話を一括比例配分方式のデメリットに戻すと、この「課税売上割合に準ずる割合」の適用が、一括比例配分方式を採用している場合には認められないというになります。

したがって、2年縛りのところで書いたこととダブりますが、翌事業年度に土地や有価証券の譲渡等で多額の非課税売上が発生することが見込まれるような会社については判断を慎重に行う必要があるということになります。

3.その他

①個別対応方式又は一括比例配分方式で申告後、異なる方式による修正申告書の提出や更正の請求は認められません

この点はよく理解しておく必要があると思います。

つまり、一度申告してしまったら、後でもう一方の方法で消費税額を計算したほうが有利だと気づいても手遅れということです。

上記のとおり異なる方法で修正申告することはできませんし(消費税法基本通達15-2-7(注))、納税額が過大だとして更正の請求を行うこともできませんので注意が必要です。

更生の請求が何故認められないのかというと、個別対応方式を採用するか一括比例配分方式のいずれを採用するかは、各社の判断にゆだねられている事項であって、申告が法律の規定に従っていないわけでも、計算を誤っているわけでもないため更正の請求の要件を満たさないためです。

②中間申告においては、個別対応方式と一括比例配分方式を自由に選択できます

消費税の中間申告を仮決算により行っている会社は少ないのではないかと思いますが、仮に仮決算で中間申告を行う場合には、年度の消費税の計算方法に縛られることなく個別対応方式と一括比例配分方式のどちらを採用してもよいとされています(消費税基本通達15-2-7)。

次回は個別対応方式の用途区分について確認することにします。

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