円高関連の倒産が前年比2倍超の51社だそうです
帝国データバンクの調査によると、2012年上半期の「円高関連倒産」は51件で、前年同期の27件の2倍超となりました(負債1000万円以上、法的整理のみ)。なお、倒産原因別では、「受注減少」が全体の33.33%で最多、業種別では「製造業」が52.9%を占めています。
円高関連倒産の件数は2008年以降以下のように推移しています。
・2008年 14件
・2009年 35件
・2010年 58件
・2011年 85件
・2012年上期 51件
これだけ円高が続くと、上記のように徐々に円高関連の倒産が増加しているのも一般的には納得できますが、2011年版の中小企業白書によれば、1995年の円高と比べると円高がマイナスの影響があると回答した割合は低下しているとされています。この理由については、95年と比較すると実効為替レートが円安水準にあるためとしています。
とはいうものの、「2010年度を通じて、輸出を行う中小企業では、円高によるマイナスの影響があると回答する割合が増加傾向にあり、輸出を行う中小企業の約6割、輸出を行わない中小企業の約2割が、円高によるマイナスの影響があると回答している」ともされており、また85円の円高水準が続いた場合の対応を製造業にアンケートした結果では「海外生産の拡大」という回答が最も多かったとされています。
2011年版の中小企業白書は2011年7月に発表されており、主として2010年の状況が述べられていますので、1年以上前の状況であり、それ以降長期化する円高により影響が顕著に現われてきたということかもしれません。
低迷している感じがある日本円の独歩高が進んで倒産が増加するというのも、なんとも皮肉な話です。
また、この帝国データバンクの調査結果で、興味深かったのは「デリバティブ損失」による倒産が6月だけで7件も発生しているというものです。少し前に、”デリバティブ契約の押し売り?”というエントリで弁護士の後藤孝典氏が「会社分割」という書籍のあとがきで述べられていた内容を紹介しましたが、この7件のうち会社が欲しないデリバティブで倒産に追い込まれた会社があるのかどうかが気になります。
デリバティブ損失による倒産件数については、今後も注目です。
日々成長