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外貨建有価証券の評価減の会計処理

今回は外貨建有価証券の評価減の会計処理について確認します。この対象になるのは売買目的有価証券以外の外貨建有価証券です。有価証券というと、個人的には株式が思い浮かびますが社債などの債券も対象となります。

1.処理の概要

処理の概要を簡単にまとめると、外貨建有価証券の時価又は実質価額が著しく下落した場合に、以下の計算式で算出される金額を評価損として計上しなければならない(評価減を行わなければならない)ということになります。

評価損計上額=帳簿価額-(外貨建てベースの時価(又は実質価額)×決算日レート)

2.評価減が必要となる要件

(1)時価が把握できる外貨建有価証券の場合

①時価の著しい下落し

かつ

②回復する見込みがない、あるいは不明な場合

(2)時価を把握することが極めて困難と認められる株式

発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合

ポイントは、以下の通りです。

①時価が把握できる外貨建有価証券の場合の時価は外貨建てベースで比較する
②どの程度を「著しい下落」とし、「回復する見込みがある」と判断できるかについては金融商品会計実務指針91項に従って判断する

下に91項を記載しておきますが、ポイントは以下の通りです。

・時価ある有価証券の時価が取得時より50%以上下落した場合は、原則として減損必要。

・有価証券の時価の下落率がおおむね30%未満の場合には、一般的には「著しく下落した」ときに該当しない

・「回復する見込みがある」と認められるときとは、株式の場合、時価の下落が一時的なものであり、期末日後おおむね1年以内に時価が取得原価にほぼ近い水準にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合を意味する

実務的には下落率30%以上50%未満で会社内で継続的に適用される判断基準を設ける必要があると思います。また、「回復する見込みがある」とみとめらるケースは相当限定的に解釈されると考えておく必要があります。

3.時価ある外貨有価証券の減損仕訳例

(前提)
A社(決算日3月31日)は米国の株式市場に上場しているZ社株をX1年1月1日に1000ドルで取得しその他有価証券に分類した。その直後に大規模なリコール問題が勃発して時価が著しく低下した。なお、A社では著しい下落を50%で判断するものとしている。時価及び為替の推移は以下の通りとする。

株式の時価

X1年1月1日(株式取得日) 1000ドル
X1年3月31日(決算日) 400ドル

為替レート

X1年1月1日(株式取得日) 75円/ドル
X1年3月31日(決算日)  80円/ドル

(取得時の仕訳)

借)その他有価証券 75,000  貸)現金預金 75,000

(決算時の仕訳)

借)有価証券評価損 43,000(*)  貸)その他有価証券 43,000

(*)外貨ベースでの時価の下落率は60%なので減損必要。
評価損=75,000-400ドル×80円

4.急激な円高により円換算後の金額が著しく下落する債券の会計処理

将来お金が返ってくるという債券の性質上、外貨建債券については別途急激な円高によって円換算後の金額が著しく下落した場合の会計処理が定められています。
すなわち、「外貨建その他有価証券のうち債券について、時価の著しい下落は生じていなくても、円相場の著しい上昇により、円換算後の金額が著しく下落するときには、外貨建ての時価を決算時の為替相場により円換算し、この場合に生じる換算差額を当期の損失として処理する」(外貨建取引実務指針19項)と定められています。

「円相場の著しい上昇」がどの程度を意味するのかは分かりませんが、個人的には20%~30%位が無難な水準ではないかと思います。

時価のある有価証券の減損処理
91. 売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式及び関連会社株式を含む。第92項において同じ。)のうち時価のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損失として処理(以下「減損処理」という。)しなければならない(金融商品会計基準第20項)。なお、その他有価証券については、減損処理の基礎となった時価により帳簿価額を付け替えて取得原価を修正し、以後、当該修正後の取得原価と毎期末の時価とを比較して評価差額を算定することになる。
時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは、必ずしも数値化できるものではないが、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。この場合には、合理的な反証がない限り、時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなければならない。
上記以外の場合には、状況に応じ個々の企業において時価が「著しく下落した」と判断するための合理的な基準を設け、当該基準に基づき回復可能性の判定の対象とするかどうかを判断する。
なお、個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30%未満の場合には、一般的には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられる。
時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは、株式の場合、時価の下落が一時的なものであり、期末日後おおむね1年以内に時価が取得原価にほぼ近い水準にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいう。この場合の合理的な根拠は、個別銘柄ごとに、株式の取得時点、期末日、期末日後における市場価格の推移及び市場環境の動向、最高値・最安値と購入価格との乖離状況、発行会社の業況等の推移等、時価下落の内的・外的要因を総合的に勘案して検討することが必要である。ただし、株式の時価が過去2年間にわたり著しく下落した状態にある場合や、株式の発行会社が債務超過の状態にある場合又は2期連続で損失を計上しており、翌期もそのように予想される場合には、通常は回復する見込みがあるとは認められない。他方、債券の場合は、単に一般市場金利の大幅な上昇によって時価が著しく下落した場合であっても、いずれ時価の下落が解消すると見込まれるときは、回復する可能性があるものと認められるが、格付けの著しい低下があった場合や、債券の発行会社が債務超過や連続して赤字決算の状態にある場合など、信用リスクの増大に起因して時価が著しく下落した場合には、通常は回復する見込みがあるとは認められない。

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