修正再表示と訂正報告書
経営財務3091号(2012年11月26日)のミニファイルで「修正再表示と訂正報告書」が取り上げられていました。
同記事によると、修正再表示の注記例としては”誤謬による修正再表示の事例-2012年3月期 加賀電子”および”「重加算税」部分も遡及修正の対象になるか?-続編”というエントリで紹介した加賀電子とランシステムの2社があったとされています。
この2社のうち加賀電子は訂正報告書を提出していますが、ランシステムは訂正報告書を提出していません。
金商法上は、修正再表示をするほどの重要な誤謬であれば、訂正報告書が提出されるため「修正再表示」の注記がなされるケースは稀とされています。これは、金商法上は、今期の財務諸表で表示される過去情報を修正再表示しても、過年度の瑕疵を解消する効果はなく、訂正報告書を提出すべき状況に変化はないためです。
加賀電子は平成24年3月期の有価証券報告書を平成24年6月28日に提出しており、一方で前期分の有価証券報告書の訂正報告書はそれよりも1カ月程度前の平成24年5月30日に提出済みです。
したがって上記のような考え方からすれば、加賀電子のケースでは平成24年3月期の有価証券報告書で修正再表示についての注記は行わなくてもよかったということになりますが、個人的には加賀電子の開示の方が利用者にとってはありがたいように思います。
というのは、有価証券報告書等の利用者は、訂正報告書があることを前提としていないのが普通で、訂正報告書の存在に気付かないこともあり得るからです。ただし、これはEDINET上の表示を工夫してくれれば解決しそうな気がします。(東証のHPで公開されている新規上場会社のIの部の訂正が開示されているような形式にしてくれれば一目瞭然だと思います。)
加えて、修正再表示をするような重要な誤謬であれば修正再表示の注記が不要としてしまうと、この注記の規定の意味がほとんどなくなってしまうことから、基準作成者は、訂正報告書を提出しても注記することを期待していたのではないかと推測します。
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