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日本人は保険好き?

Bloomberg BuisnessweekのDecember10-December16,2012に”Japan’s Fear of Risk Is Getting Dangerous”という記事が掲載されていました。

この記事の副題は、「日本人は844兆円をタンス預金か低利の預金で保有している」「私の両親は、賭け事はやめて株式市場にはかかわわらないようにと教えた」というものです。

この記事の内容は概ね以下のようなものです。

アイザワ証券の営業担当者(女性)は、内勤になるまで新規証券口座を開設してもらおうと1日100件の訪問を行っていたが、月10件新規に証券口座を開設してもらえればよいほうだった。
バブルがはじけて日経平均がピークの1989年から76パーセント下落し、1500兆円の富を失うなかで、株は下落するだけだという思い込んでいる投資家世代が生まれた。前出の営業担当者いわく、「ほとんどの人はリスクに対する耐性がない」。

日本人が賭けにでることを好まないのは株式市場だけではない。ハーバード大学の心理学によれば「日本はリスク回避病を患っており、それが日常生活にもしみついており、機会よりも悪くなる可能性がよりクローズアップされる傾向がある。これが、規制当局が海外では何十年も前に認可されているワクチンの認可を遅らせたり、海外留学する学生がほとんどいなくなったり、GDPの2倍に近い844兆円もの金額が使い道なくタンス預金されていたり、0.02%の利率の預金で保有されていたりすることの理由なのかもしれない。

スポーツの世界でさえも日本人がリスクを回避する傾向がみられる。2005年の東京学芸大の教授の研究によれば、日本のプロ野球は得点のチャンスを広げるため大リーグのチームよりも2倍の頻度でバントを行う。

2008年の研究では約73%の日本人は、自信をリスク回避型であるとしている。ガーナ、インドネシア、インドがリスクをとることが重要だと答えた割合が最も高かった。ある調査によると3年以内に起業するつもりという日本人労働者は4%未満であり、これは調査対象54か国で下から3番目の低さであった(後ろの2国はアラブ首長国連邦とロシアで、米国は19番であった)。日本の人口は1億2700万人で米国の半分以下であるが、日本人はアメリカ人と同じくらい生命保険に費用をかけている。昨年の日本で保険契約に支出された金額が5250億ドルで、米国の5380億ドルに次いで2番目であった。

保守的な文化が12月16日の選挙で有権者が自民党に回帰した理由の一つかもしれない。自民党は第二次世界大戦後の半世紀以上国を統治してきたが、1990年代および2000年初めの失われた10年には経済成長が平均1.2%である一方で、公的債務はGDP比170%に上昇した。

もちろん、日本人が投資に対して懐疑的なのには理由がある。過去20年を振り返ると、株式市場にかかわらないのが正しい選択だったとダイワSBインメスとメントのチーフストラテジストは語っている。

企業スキャンダルも投資を行わない人の疑念を強める要因となっている。オリンパスの一件では、不正が発覚後45%も株価が下落した。

ハーバード大学のブライトン教授と彼の共著者である玉川大学の山口教授は、終身雇用が崩れてきていることも日本人が安全を志向する主な理由の一つとなっているかもしれないと指摘している。中途(midcareer)の労働者を雇うことにはなお偏見があり、会社が労働者を解雇し長期雇用をコミットしなくなってきているため、再起が困難である。一度失敗すれば終わりという感じで、一度グループの外に放り出されたら二度と戻れない。

日本の株式市場についての議論もある。日本では配当に対して先進国で最も低い10%という税率が適用されているが、米国の15%、イギリスの28%と比べて非常に有利である。TOPIXに組み込まれた会社の株は、それらの会社の資産よりも低い価格で取引されている。日本の保有資産のうち株式はたった6%で、これと比較して米国は33%、ヨーロッパは15%となっている。1989年のバブルの時は5%程度であったが、いまや日本株の25%を海外投資家が保有している。

上記のような姿勢が、国債を買い支えているとも言えるので、日本人が積極的にリスクをとるようになったらどうなるのかという点はありますが、需給という点でいえば国民がリスクを少しとるようになるだけで株価は結構あがるのではないかと思います。

保険の外交員が「貯金しませんか」と保険を勧めるような国ですから、保険加入金額が著しく高い水準にあるというのは当然のような気はするものの、国民皆保険が実現している日本で米国と同じ水準というのはやはり保険をかけすぎではないかと思います。

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