中退共が確定給付制度の内枠の制度である場合の会計処理
さて、確定拠出型の制度については会計処理については、拠出額を費用処理ればよいだけであったため、この処理について長らく基準を調べることがなかったので錯覚していましたが、従来の「退職給付に係る会計基準」では中退共はおろか、確定拠出型の制度については特に規定はありません。
会計処理については「退職給付に係る会計基準の設定に関する意見書」において「中小企業退職金共済制度を採用している企業や確定拠出型の企業年金制度を採用している在外子会社もある。本基準では、このような、将来の退職給付について拠出以後に追加的な負担が生じない外部拠出型の制度に関する会計処理は示していないが、基本的には、当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理することが適当であると考えられる。」と述べられているに過ぎません。
旧基準の設定当時は、日本において確定拠出年金法も未制定でしたが、現在では整備されていることから、平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末から強制適用される「退職給付会計基準」では、「確定拠出制度においては、当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理する。」というように確定拠出年金の会計処理が明確に定められています。
中退共に加入する中小企業の場合、退職金制度=中退共であることが多いのではないかと思いますが、確定給付型の退職一時金制度が存在し、そのうち中退共から支給された金額の残額は会社が支給するというような制度の場合に、中退共をどのように取り扱うかという点が問題となります。このような制度の場合、「中退共からの支給見込額を退職給付債務から控除するという実務が広く適用」されてきました。
一方で、同記事では「中退共が確定給付制度の内枠として存在する場合、中退共からの給付は外部拠出の年金資産と同様な性質も有すると考えることができる」という見解を提示し、会計処理のあり方を制度的に検討する必要があるのではないかという提言をしています。
内枠方式の場合、中退共は確かに年金資産的な性格を有していると思いますが、注記などの手間を考えると実務的には、従来の処理が今後も踏襲されることを期待します。
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