復興特別所得税の区分処理方法(その1)
今回は、復興特別所得税の区分処理について確認します。
法人が源泉徴収された復興特別所得税については、復興特別法人税のみから控除することができるとされていますので、税額控除を選択する場合には、源泉徴収された所得税等に含まれる復興特別所得税の金額を区分する必要があります。
1.源泉徴収額からの区分方法
復興特別所得税の区分方法については、国税庁の「平成24年版 法人税申告書の記載の手引」の別表六(一) 所得税額の控除に関する明細書で以下のよう示されています。
- 源泉徴収額に2.1/102.1を乗じて復興特別所得税の額を算出する。
- 源泉徴収額から上記で計算された復興特別所得税の金額を控除した残額を所得税額とする。
最初に復興特別所得税の額を算出するというのがポイントの一つです。
2.端数処理
復興特別所得税の額を算出する際の端数処理にも注意が必要です。復興特別所得税の端数処理については、50銭以下切り捨て・50円超切上げとされています。
所得税および住民税については、納税者有利の原則から小数点以下の端数は切り捨てとなっています。
話を単純化するため、復興特別所得税が課税される前の状況で、普通預金の受取利息が200円入金された場合に源泉徴収されている所得税及び住民税がいくらか?を考えることにします。
所得税15%・住民税5%が源泉徴収されているので、単純に計算すると、源泉徴収前の受取利息の額面は100÷80%=250円と計算されますが、源泉徴収前の受取利息の金額は125円ではありません。
源泉徴収された所得税と住民税の金額を計算してみると以下のようになります。
所得税=200÷80%×15%=37.5円→37円(端数切捨て)
住民税=200÷80%×5%=12.5円→12円(端数切捨て)
よって、源泉前の受取利息の金額は、手取り200円+所得税37円+住民税12円=249円と計算されます。たった1円ではありますが、手取り額を(1-源泉合計税率)で割り返した金額とは結果が異なります。
話が逸れましたが、上記のように円未満の端数処理については切り捨てが一般的だと思いますが、復興特別所得税の場合は50銭以下切り捨て・50円超切上げという特徴があります。
それでは、復興特別所得税課税後の受取利息の手取り金額が200円だった場合の受取利息の額面はいくらになるのかを計算してみます。
この場合源泉徴収されているのは、以下の三つの税金ということになります。
①所得税 15%
②復興特別所得税0.315%(=15%×2.1%)
③住民税 5%
この場合、手取り額200円を0.79685で割りかえした理論上の額面をベースに各税金の金額を計算することになります。
①所得税・・・200÷0.79685×15%=37.648…→37円(端数切捨て)
②復興特別所得税・・・200÷0.79685×0.315%=0.790…→1円(50円超切上げ)
③住民税・・・200÷0.79685×5%=12.549…→12円(端数切捨て)
よって、源泉前の受取利息の金額は、手取り額200円+所得税37円+復興特別所得税1円+住民税12円=250円と計算されます。
額面250円として、検算してみると、
①所得税・・・250円×15%=37.5円(端数切捨て)→37円
②復興特別所得税・・・250円×0.315%=0.7875円(50銭超切り上げ)→1円
③住民税・・・250円×5%=12.5円(端数切捨て)→12円
なので、源泉後の金額は250円-37円-1円-12円=200円となることが確認できます。
なお、源泉前の金額が数円プラスマイナスに動いても、源泉徴収される金額は変わりませんが、手取り金額が200円になるのは額面250円の場合のみとなります。
では、このような煩雑な端数処理をどの単位で行う必要があるのかですが、この点については次回にします。
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