平成25年3月期有価証券証券報告書の留意点(その1)-非財務情報
3月決算の上場会社の場合、決算発表が終わって一安心というところですが、まだ有価証券報告書の作成が残っています。そこで、経営財務3113号に掲載されていた「有価証券報告書作成上の留意点 平成25年3月提出用」を元に内容を確認していきます。
なお、上記の記事は2013年4月2日から12日にかけて開催された有価証券報告書セミナーで説明した内容を元にASBJの開示室グループ長の渡部類氏が書いています。
今回は、非財務情報の留意点について確認することにします。非財務情報の留意点として取り上げられていたのは以下の2点です。
①役員の状況
②コーポレート・ガバナンスの状況
といっても、上記の改正は平成24年3月30日になされたものであるため、3月決算の会社では前期から適用されている内容です。ただし、この改正点は、「25年3月31日を決算日とする企業を対象に金融庁が実施する有価証券報告書レビューの法令改正関係審査項目となっている」そうなので注意が必要です。
1.役員の状況
前期の改正内容は、役員が社外取締役又は社外監査役に該当する場合には、その旨を欄外に注記することとされた点です(記載上の注意(36)gが新設)。
ここでいう、社外取締役または社外監査役は、会社法施行規則第2条第3項第5号に規定する社外役員に該当する取締役または監査役をいうとされています。
ただし、上記の注記については「社外役員の定義の条文(会社法施行規則第2条第3項第5号)を引用することまでは求められていないと考えられる」ため、単に「取締役〇〇〇は、社外取締役である」というような記載で足りると考えられると解説されています。
実際の開示例を検索すると、会社法施行規則の条文の引用を行っている会社は稀ですが、「会社法第2条第15号に定める社外取取締役」あるいは「会社法第2条第16号に定める社外監査役」という表記を行っている会社は多数存在します。
平成25年3月有報用のプロネクサスの記載例では「取締役○○は、社外取締役であります。」という記載例に変更されているので、今回文言を変更する会社が多数存在するものと予想されます。
コーポレート・ガバナンスの状況にも多少関係するので、「社外取締役」・「社外監査役」の定義について確認しておきます。
- 社外取締役とは、「株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないもの」のことです(会社法2条15号)。
- 社外監査役とは、「株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないもの」のことです(会社法2条16号)
したがって、上記の要件を満たしていれば、例えば取引先の役員や従業員の場合は社外取締役や社外監査役に該当します。「社外取締役」あるいは「社外監査役」という用語の響きからすると、特殊な利害関係がないというイメージを抱きますが、かならずしもそうではないという点に注意が必要です。
今回コーポレート・ガバナンスの状況まで触れる予定でしたが意外に長くなってしまったので次回にします。
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