平成25年3月期有価証券証券報告書の留意点(その4)-その他の留意点
今回は「有価証券報告書作成上の留意点 平成25年3月期提出用」(経営財務3113号)で「その他の留意点」として解説されていた内容を確認します。
ここで取り上げられていた項目は以下の4項目です。
- 金融商品取引所の統合
- 未適用の会計基準等
- 金融商品関係
- 関連当事者情報
1.金融商品取引所の統合
これは、株式会社日本取引所グループの発足によって東証と大証の現物市場が平成25年7月16日付で統合されることに関連した内容です。
個人的には、どうしても経理の状況に目が行くので、これが何に影響するの?という感じでしたが、有価証券報告書の表紙に記載される「縦覧に供する場所」等の金融商品取引所名の記載をどうすべきかというものです。
結論としては、「提出日を基準として記載するべきものと考えられる」ため、東証と大証に重複上場している場合であっても、有価証券報告書をを6月中に提出するときは、両方の取引所の名称を記載することになると解説されています。
2.未適用の会計基準等
今回、未適用の会計基準等に該当する可能性があるのは「退職給付に関する会計基準」「連結財務諸表に関する会計基準」の二つですが、重要性が乏しいものについては、当該注記を省略できるという点が確認されています。
3.金融商品関係
これは、有利子負債の返済予定額を一定期間に区分した金額の注記を、社債明細表又は借入金等明細表に記載されている旨を注記して省略している場合(連結財規第15条の5の2第6項)に比較情報をどのように考えるかという内容です。
感覚的にはこの方式を採用してる会社は少ないように思いますが、以下のような開示です。
株式会社イムラ封筒(2013年1月31日)
(金融商品関係)
・・・(省略)・・・
(注4) 長期借入金及びその他有利子負債の返済予定額
連結附属明細表の「借入金等明細表(注)2」に記載しているため、記載を省略しております。
平成23年4月以降開始する事業年度からは比較情報の考え方が導入されており、返済予定額の注記についても比較情報の記載が求められますが、上記の方式を採用した場合、社債明細表又は借入金等明細表の連結附属明細表には前期の情報が含まれません。また、連結附属明細表で求められる返済予定額の記載期間は5年以内に限られるため、5年を超える返済予定額がある場合も、注記の要請を満たさないことになります。
このため、今後上記のような開示方式は前期の数値がないケース(借入や社債が0)で、すべて5年以内返済予定のものというケースでなければ適用できないということになります。
したがって基本的には、記載方式を変更する必要があるということになると考えらえます。
4.関連当事者情報
これは、今期から新たに重要な関連会社に該当し、要約財務諸表等の開示が求められることとなった場合に、前期の情報を比較情報として開示する必要があるのかについてです。
結論としては、「当期に新たに重要な関連会社となった会社については、前期においては、当該関連会社は重要な関連会社でなかったため、比較情報である前期に係る数値の記載は不要であると考えられる」と解説されています。
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