税金の滞納残高は14年連続で減少-国税庁発表
国税庁が2013年7月30日に公表した「平成24年度の租税滞納状況について」によると、滞納残高は平成11年度以降14年連続で減少したとされています。
滞納残高のピークは平成10年度の2 兆 8,149 億円に対して、平成24年度の滞納残高は1 兆 2,702 億円とピーク時の45.1%に減少しています。
過去の推移を示すと以下のようになっています。
(出典:国税庁「平成24年度の租税滞納状況について」)
新規発生滞納額(平成24年度:5,935億円)も減少傾向にあり、過去最も多かった平成 4 年度(1 兆 8,903 億円)の 31.4%まで減少しており、平成元年以降では最も低い水準となっています。なお、平成23年度との比較では、138億円(2.3%減)となっています。
さらに、滞納発生割合(新規発生滞納額(5,935 億円)/徴収決定済額(44兆 4,507 億円)(注))は、国税庁発足以来、最も低い割合となっています。
期限内収納の実現を図るための期限内納付に関する広報や納期限前後の納付指導の実施など、滞納の未然防止に努めた結果、上記のように滞納残高が減少しているとのことですが、なんだか当然すぎることでこんなに残高が減るものなのかという気はします。
ただし、国税であっても回収をあきらめざるを得ないという状況は当然あり得ますので、滞納額の減少=回収額を意味しないと考えらえます。そうであれば、回収不能の判断を素早くすることによって滞納残高を減少させることは可能です。
同資料内に整理済み額の推移も示されています。関係を整理すると、平成24年度の滞納整理中のものの残高(12,702億円)=平成23年度の滞納整理中のものの残高(13,617億円)+平成24年度新規発生滞納額(5,935億円)-平成24年度整理済み額(6,850億円)となっています。
気になるのは平成24年度整理済み額(6,850億円)のうち実際の回収があったのはいくらなのかという点です。この点については、特に明示されていませんが、この点についての情報も合わせて報告する必要があるのではないかと思います。
なお、悪質事案に対して行う「滞納処分免脱罪」による告発は6件で,1年間の告発件数では過去最高を記録したとのことなので、決して国税庁がサボっているということではないと思いますが、実際どれだけキャッシュ・インがあったのかについても知りたいと思います。
ちなみに「滞納処分免脱罪」で告発されるような悪質な事案とはどのようなものかですが、この点については税務通信3273号で以下の差押えを免れようと売掛金を隠蔽した者を滞納処分免脱罪で告発した以下の事例が紹介されていました。
運送業を営む滞納法人Aは、資金繰り難を理由に、源泉所得税等の滞納が約7千万円まで累積していた。Aの代表者はAと類似した名称の新法人A´を設立していたことから,Aの取引実態を把握するため事務所を捜索したところ、取引先に対して商号変更した旨を通知した文書を発見するとともに、A´名義の預金口座にAの取引先から多額の入金がされている事実も把握した。さらに、A´は運送業の許可を得ておらず,トラックのリース契約や従業員への給与支給等もAのままであることを把握した。以上から、A´は実体のない法人であり、A´名義の売掛金や預金(計約5千万円)はAに帰属するものとして差し押さえた。また、これらの行為は「滞納処分免脱罪」に当たることから、代表者を地検に告発し、懲役2年(執行猶予4年)、罰金150万円の刑が言い渡された。
新法人を設立しているあたりが悪質といえば悪質ですが、この内容からする限りにおいては代表者が私腹を肥やしているという感じではなく、会社を潰したくない一心でやったことという感じがするので、少々複雑な気はします。
税金は正しく納税しなければならないのは、よくわかるのですが・・・
日々成長