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新金融証券税制における上場株式等・非上場株式等の税務上の取扱い

前回触れたとおり、公社債等の配当等及び譲渡所得の課税方式が見直されることに伴い、従来、「株式等に係る譲渡所得等」の枠組みが見直されることになりました。

従来、「株主等にかかる譲渡所得等」には「上場株式等の譲渡損益」と「非上場株式等の譲渡損益」の双方が含まれており、両者で損益通算が可能でした。一般的に非上場株式を保有している人は多くありませんが、非上場会社のオーナー等が上場株式等の譲渡損益と非上場株式の上場損益を通算して節税を図るというようなことが実務上は結構あったようです。

なお、このような節税が可能である背景には、両者で損益通算が可能であることに加えて、非上場株式等には取引相場がなく譲渡価格等に一定の裁量が認められるため、課税上弊害がない範囲で節税に利用しやすかったということがあります。

今回の改正により、平成28年1月1日以降は、株式等にかかる譲渡所得等が「上場株式等に係る譲渡所得等」と「一般株式等にかかる譲渡所得等」に区分されることになり、「上場株式等に係る譲渡所得等」と「一般株式等にかかる譲渡所得等」間での損益通算は認められなくなりました。

「上場株式等に係る譲渡所得等」および「一般株式等にかかる譲渡所得等」にはそれぞれ以下のものが含まれます。
「上場株式等に係る譲渡所得等」・・・上場株式等の譲渡損益、特定公社債等の譲渡損益
「一般株式等にかかる譲渡所得等」・・・非上場株式等の譲渡損益、一般公社債等の譲渡損益

つまり、平成28年1月1日以降は上場株式と非上場株式の譲渡損益の損益通算が認められなくなる一方で、従来は譲渡損益を認識することができなかった公社債等に係る譲渡所得を認識することができることとなったうえで、特定公社債等の譲渡所得は上場株式等に係る譲渡所得等と損益通算が可能となり、一般公社債等の譲渡所得は、非上場株式等に係る譲渡所得等と損益通算が可能となります。

なお、特定公社債等の譲渡により生じた損失のうち、その年に損益通算をしてもなお控除できない損失については、上場株式等の譲渡損失と同様、翌年以後3年に渡り繰越控除制度を利用できるようになります。

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