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海外駐在者の健康保険・厚生年金保険への加入の要否(その2)

今回は”海外駐在者の健康保険・厚生年金保険への加入の要否(その1)”の続きで、前回のこった厚生年金についてです。

厚生年金保険の被保険者資格を喪失することのデメリットは?

厚生年金保険の保険料は平成25年9月から17.12%となっており、労使折半ですので従業員負担分は8.56%です。したがって、厚生年金保険に加入不要となれば厚生年金保険料を支払う必要がなくなります。

しかしながら、よいことばかりではありません。

第1に、(もらえるものとして)将来の年金の支給額が減少します。保険料を支払っていないので当然なのですが、従業員の立場からすると、保険料の半額は会社が負担してくれているわけですから加入できた方がありがたいという面があるのも事実です。

第2に、万一の場合に障害厚生年金や遺族厚生年金等が受給できないことになります。将来どうなるのかわからない老齢厚生年金よりもこちららのデメリットの方が大きいかもしれません。
例えば、生命保険に加入した際に、遺族厚生年金が受給できる前提で保険に加入しているような場合には、万一の場合に想定していた年金が受給できないということが生じる可能性があります。
実際に障害厚生年金や遺族厚生年金を受給することになる可能性はごくわずかですが、それでもこれを受給できるかどうかは雲泥の差があります。

国民年金への任意加入

前述のデメリットを多少緩和する手としては、国民年金に任意加入するという方法があります。

会社員の場合、社会保険料が毎月の給料から徴収されていながら、社会保険の仕組みについてはあまりきちんとした説明が会社でも学生時代にもなされていないので、よくわからないことも多いのではないかと思いますが、厚生年金への加入者(被保険者)は国民年金にも加入していると関係にあるとイメージすればよいと思います。

そして厚生年金が継続できなくなったとしても、国民年金に任意加入することができます。この場合、厚生年金からの保険給付は受けられませんが(将来の年金額も増えない)、国民年金からの保険給付を受けることはできます(将来の年金額も増える)。
ただし、厚生年金に比べると給付水準は低いという点は忘れてはなりません。

大雑把にいうと、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人が国民年金の加入者になるとされています。
したがって、海外勤務者であっても住民票を従前の市町村に残したままだと国民年金へ加入が必要となり、仮に保険料を納付していないと保険料を滞納しているという扱いになってしまうので注意が必要です。

一方で、居住していた市町村に転出届を提出し、日本での住所を有しなくなった人は国民年金への加入は不要となります。その後、保険料を納付していないという点では上記の場合と同様ですが、大きく異なるのは、国民年金に加入が強制されない期間は、国民年金の受給資格を判定する期間に含めることができるという点です。

老齢年金は基本的に保険料を25年以上納付した者がもらえることになっていますが、例えば、20歳から60歳の40年間のうち国内で20年間国民年金の保険料を納付し、海外に10年間居住し(日本に住民票なし)、残りの10年は保険料を納付していなかった場合、海外にいた10年間も保険料を納付した期間と同様に年金の受給資格を判定する期間に含めてもらえるため20年+10年>25年となって年金を受給することができます。
なお、この場合であっても、保険料を納付していない期間は、年金額には影響しません(つまり年金額は増えません)。

上記のとおり、国内に住所がなければ年金の受給資格を得ることは可能ですが、もらえる年金額は少なくなってしまいます。また、万一の場合、障害年金や遺族年金も受給できません。

話が長くなりましたが、これを回避する手段として国民年金に任意加入することができます。国民年金に任意加入することで、将来の年金(国民年金分)の減額を防止することができ、被保険者資格が継続することで万一の場合に障害基礎年金や遺族基礎年金を受給することができます。

厚生年金保険への任意加入は?

国民年金の任意加入や健康保険の任意継続のように厚生年金保険への任意加入ができるのかですが、残念ながら厚生年金保険にそのような制度はありません。
ただし、やったことはありませんが、会社が従業員を海外に派遣するにあたり厚生年金への加入を継続させてあげたいということであれば、資格喪失の手続きをしなければ結果的に加入を継続することはできるのではないかと思います。

もっとも、この場合、本来従業員が負担すべき金額も会社が負担するような場合には、税務面で注意が必要です。

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