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組織再編の包括的な租税回避防止規定を巡る初の訴訟が来年2月に判決

T&A master No.527に”132条の2を巡る初の訴訟、2月25日判決”という記事が掲載されていました。

ここでいう132条の2は法人税法132条の2のことで、「組織再編成に係る行為又は計算の否認」に関する条文です。
この条文は包括的な租税回避防止規定といわれるもので、簡単にいえば、たとえ法人税法の規定に従っていたとしても、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には税務署長が課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができるとするものです。

132条の2の規定が適用され否認を受けたという事例は少なくないと認識していたので、「初の訴訟」という部分に違和感を感じましたが、この規定の適用を受け最初に訴訟になった事案の判決が2014年2月に下されるとのことです。

この事案の主役はヤフーで、二つの事案が争いとなっているとのことです。

一つは、ヤフーがソフトバンクの子会社であったソフトバンクIDCの株式をソフトバンクから買取り(平成21年2月)、完全子会社化したのち、平成21年3月に同社を吸収合併した事案です。
この組織再編によりヤフーは、ソフトバンクIDCが抱えていた税務上の繰越欠損金約540億円(当時の報道)を引き継ぎ、その繰越欠損金を利用したが、これが否認され約265億円(当時の報道)の追徴を求められたというものです。

上記の合併は、特定資本関係発生から5年未満の合併であるため、繰越欠損金を引き継ぐためには共同事業要件を満たす必要があります。共同事業要件には、以下の四つがあります。

  1. 事業関連要件
  2. 規模要件
  3. 規模継続要件
  4. 2.および3.を満たさない場合には経営参画要件

上記の事案では1.に加えて、平成20年12月にヤフーの社長がソフトバンクIDCの副社長に就任(株式の譲渡はその約3か月後、合併は4か月後)することで4.の経営参画要件を満たし、税制適格合併として繰越欠損金を引き継いだようです。
これに対して当時の報道等によると国税当局は、役員の就任は形式的な要件を満たすためだけのものであること、買収価格には繰越欠損金の利用による節税効果が加味されていることなどを理由に、132条の2の規定を適用し更正処分をおこなったとされています。

もう一つは、税制非適格分割に伴い計上された「資産調整勘定」に関してです。

ヤフーがソフトバンクIDCの株式の取得を発表しているプレスリリースの下の方に、「※(旧)ソフトバンクIDC株式会社はこの譲渡に先立ち、新設会社分割しており、営業部門については、同社100%子会社の(新)ソフトバンクIDC株式会社が引き続き行っています。」という記載があります。

T&A masterの記事と各社のプレスリリースからすると、ソフトバンクからヤフーへ株式の譲渡が行われる前に、「(旧)ソフトバンクIDC株式会社」は会社分割により「(新)ソフトバンクIDC株式会社」を新設し、この株式をヤフーに売却したということのようです。

そして、分割法人と分割承継法人の間に完全支配関係がある場合の会社分割では、分割後も「完全支配関係の継続が見込まれている」ことが税制適格要件の一つになっているところ(法令4条の3⑤)、上記のケースでは分割直後にヤフーに株式が売却されているため税非適格分割になるとして、ヤフーに資産調整勘定が生じたということのようです。

税務当局は、この取引を意図的な適格外しとして更正処分を下したようです。

つまり、税務当局としては、実質的に税制適格であるものを税制非適格とし、税制非適格であるものを税制適格にしているという立場のようです。

租税法律主義という点からすれば細かな規定を設ける必要がある一方で、条文に記載されていることがすべてであれば、納税者側は合法的にその抜け道を探そうとするので、132条の2のような包括的な租税回避防止規定が設けられていると言われていますが、結局のところ何が132条の2にひっかかるのかは判例によって基準ができてくることになると考えられますので、この判決は注目を集めているようです。

同じようなスキームで組織再編を行おうとする場合にはこの判決をみてからにするのが無難だと考えられます。

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