期ズレへの重加算税事例が急増?
T&A Master No525の表紙に記載された「期ずれへの重加算税事例が急増」というタイトルが目につきました。
期ずれで重加算までやられるのかな?と内容を確認してみると、「税務調査で期ずれについて否認を受けた場合には、高い確率で重加算税が賦課されている模様なので、企業や顧問税理士にあっては要注意」とされていました。
とはいえ、企業で行われる期ズレには、
- 今期の売上予算を達成したため、翌期の予算達成のため売上を繰り延べる
- 黒字が確定した工事に、翌期に赤字になりそうな工事の原価を付け替える
というようなパターンがあり、上記2のケースが調査で否認された場合が重加算は免れないとされています。個人的な感覚でいえば、それは致し方ないのでは・・・という気がしますが、「期ずれは税務調査では必ずチェックされる項目の一つだが、かつて、重加算税の対象外だったため、実務経験の長い税理士等ほど、現在の状況にはとまどいがあるようだ。」とのことです。
一方で、上記1のケースでは国税庁が公表している「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」において、以下の場合は当該行為が相手方との通謀又は証ひょう書類等の破棄、隠匿若しくは改ざんによるもの等でないときは、帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない(重加算税の対象とはならない)とされていることから、原則としては重加算の対象とはならないとされています。
(1)売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、その売上げ等の収入が翌事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、翌連結事業年度。(2)において同じ。)の収益に計上されていることが確認されたとき。
(2) 経費(原価に算入される費用を含む。)の繰上計上をしている場合において、その経費がその翌事業年度に支出されたことが確認されたとき。
考えようによっては、原価の付け替えは上記の(2)にあたるということで重加算税はないだろうということなのかもしれませんが、対応関係にある収益と費用の双方を繰り延べるということならまだしも、全く無関係の原価を付け替えでは重加算もやむなしだと思います。
「要注意」というよりは、一般人としての常識の範囲で考えればすむはなしのような気はします。
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