平成26年3月期有価証券報告書の記載事項の変更箇所確認(その1)
平成26年3月期の有価証券報告書の記載例で平成26年3月期の有価証券報告書の変更箇所を確認してみました。
1.経理の状況の「連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について」の記載
経理の状況の最初のページに以下の記載が追加されています。
1)連結財務諸表
なお、当連結会計年度(平成25年4月1日から平成26年3月31日まで)の連結財務諸表に含まれる比較情報については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(平成24年9月21日内閣府令第61号)附則第2条第2項により、改正前の連結財務諸表等規則に基づいて作成しております。
2)財務諸表
なお、当事業年度(平成25年4月1日から平成26年3月31日まで)の財務諸表に含まれる比較情報については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(平成24年9月21日内閣府令第61号)附則第2条第2項により、改正前の財務諸表等規則に基づいて作成しております。
これは退職給付に関する会計基準の改正に伴うもので、一言でいえば、退職給付に関する会計基準の改正に伴う表示科目の変更等については比較情報として前期の数値を組み替える必要はないということです。
例えば、連結貸借対照表上、従来「退職給付引当金」として開示していた項目は、平成26年3月期から「退職給付に係る負債」として開示されることになりますが、前期の「退職給付引当金」は比較情報として組み替えず、そのまま残すということになります。
この他、連結損益計算書上、「退職給付引当金繰入額」という表示科目を採用していた場合、連結財規55条2項が改正され「退職給付費用および引当金繰入額」となったことにより、「退職給付費用」という表示科目に変更したときも前期の表示科目はそのままにするということになります。
ところで、上記連結財規に対応する財規の規定(85条2項)は、「減価償却費および引当金繰入額」とこの部分の改正は行われていません。そのため、連結での表示に合わせて単体も「退職給付引当金繰入額」から「退職給付費用」へ表示科目を変更する場合には、原則通り比較情報としての表示組替が必要になるのではないかと考えられます。
2.株主資本等変動計算書が横形式へ
(連結)株主資本等変動計算書の形式が縦形式から、以前の横形式に変更されています。なお、この変更は図部手の会社が行う者であるため、表示方法の変更として記載する必要はないとのことです。
縦表示形式の場合、前期・当期共に発生額がない場合は項目を削除でき、一方でも発生額があれば表示項目は共通ですからその項目は必然的に発生額がない期も残ることになりますが、横形式になった場合に比較情報をどのうように考えるのかが問題となります。
この点については、特に明確なルールはないとのことです。したがって各社の考え方次第となりますが、縦形式のものを単に横形式にしただけと考えるのであれば、当期のみに発生額があるような項目についても、比較情報として前期の株主資本等変動計算書に項目を表示した上で「-」とするということになります(縦形式であれば、項目が表示され「-」となっていたはずなので)。
3.退職給付に係る会計処理方法の注記が追加
連結財規13条5項4号に「退職給付に係る会計処理の方法」が追加されました。従来から「退職給付引当金」の計上基準については記載していましたが、連結財規ガイドラインも改正され退職給付に係る会計処理の方法には、退職給付見込額の期間帰属方法」が含まれるとされているため「期間定額基準」等、採用している方法を記載する必要があります。
なお、単体財務諸表では「退職給付引当金」が残りますが、財規ガイドライン8の2-6第2項が改正され「退職給付引当金については、退職給付見込額の期間帰属方法・・・・が含まれるものとする。」とされていますので、単体財務諸表においても「期間帰属方法」について記載する必要があります。
ところで前述のとおり、連結BS上、前期の「退職給付引当金」は残ることになります。そこで、重要な引当金の計上基準として開示していた前期の退職給付引当金部分の記載はどうなるのかですが、会計方針の変更の記載内容から変更前の処理方法が明らかである場合には、比較情報を記載しているものと取り扱われるため前期の記載は不要となります。
今回はここまでとします。
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