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パートタイム労働法の改正が成立しました

今回は2014年4月16日に成立した「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、いわゆるパートタイム労働法の改正について内容を確認します。

なお、改正法の施行については、公布の日から1年を超えない日とされているため2015年4月1日施行となる可能性が高いようです。

今回の改正のポイントは以下の三つといえます。

  1. 通常労働者と短時間労働者の均等待遇の推進
  2. 短時間労働者の納得性を高める措置の拡充
  3. 実効性を高めるための措置の導入

1.通常労働者と短時間労働者の均等待遇の推進

今回の改正により「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」の範囲が拡大されました。現行のパートタイム労働法8条では以下の場合に、短時間労働者の処遇について通常の労働者との差別的な取り扱いが禁止されています。

  1. 事業主と期間の定めのない労働契約を締結していること(反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる有期契約を含む)
  2. 職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)が通常の労働者と同一であること
  3. 雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの

今回の改正では、上記の1の要件が削除されました。したがって、改正法施行後は、純粋な有期雇用であったとしても他の要件を満たす場合には、その短時間労働者の待遇について、通常の労働者と差別的な取り扱いをすることがないよう注意しなければなりません。

とはいえ、厚生労働省発表の「平成23年パートタイム労働者総合実態調査の概況」によると、「パート」のうち、「職務内容が正社員と同じパート」が2.1%で、このうち「無期労働契約を締結しているパート(実質無期を含む)」が1.3%とのことですので、上記1の要件が外れたとしても現行法のもとで通常の労働者と同視すべき短時間労働者1.3%から2.1%に増加するだけです(ビジネスガイド2014年6月号「改正パートタイム労働法・有期雇用特別措置法案・改正労働者派遣法案の概要と企業実務への影響」三上安雄弁護士 著)。

また、従来の第8条が第9条に繰り下げられ、第8条に短時間労働者の待遇の原則が新設されました。この条文では以下のように定められています。

(短時間労働者の待遇の原則)
第8条 事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

新設された第8条は通常の労働者と同視すべき短時間労働者以外の短時間労働者にも適用されることになりますが、具体的な指針等は今後公表されることになると考えられます。

気になるのは待遇の差について合理性が求められることになるのかですが、この点についてビジネスガイドの記事では待遇の相違が「「合理的なもの」と認められる必要はなく、その差異が法的に否認すべき程度に不公正なものであったはならないという趣旨であり、その相違(通常の労働者と比して労働条件が低い)の程度が社会的に不公正といえるか否かが問題となるものと解される」という見解が示されています。

したがって、あまり細かく考える必要はなさそうですが、時給等の設定に関して概ねリーズナブルと説明できそうかという視点で考えてみる必要はありそうです。

2.短時間労働者の納得性を高める措置の拡充

今回の改正により以下の二つの条文が新設されました。

(事業主が講ずる措置の内容等の説明)
第14条 事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、第9条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間労働者に説明しなければならない。

(相談のための体制の整備)
第16条 事業主は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用する短時間労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならない。

現行法15条に定められている短時間雇用管理者の選任について努力義務ですが、上記の二つの条文は義務とされている点で注意が必要です。具体的にどの程度求められるかについては今後あきらかになってくると思いますが、相談のための体制の整備というのは、窓口を決めてある程度の権限を持たせ、それを周知するという程度だと思いますのでそれほど負担はないと考えられますが、14条の説明義務は少々やっかいかもしれません。

3.実効性を高めるための措置の導入

最近みられる傾向ですが、改正法では第18条2項に事業主が厚生労働大臣の勧告に従わない場合にその旨を公表することでできる旨が定められました。

改正法の第18条2項では以下のように定められています。
「厚生労働大臣は、第6条第1項、第9条、第11条第1項、第12条から第14条まで及び第16条の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けたものがこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。」

勧告を受けた上で、それに従わなかった場合に公表されるということなので、あまり気にするひつようはありませんが、今後労働者が不足してくるといわれている中で、このような公表を受けることは避けなければなりませんので、そのような措置があることは記憶にとどめておく必要があるのではないかと思います。

パートタイマーを使用しているにもかかわらず、パートタイマー用の就業規則が整備されていない会社もあるようですので、就業規則の見直し・作成を含め対応を見直す必要がありそうです。

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