国際税務入門(その2)-6つのキーワード
4.所得源泉地国の適用税率
所得源泉地国の適用税率は、その国の税法によって定められますが、租税条約により適用税率が変更されることがあります。
「租税条約は、所得源泉地国の課税権を制限するものですので、所得源泉地国の税法による税率よりも、租税条約の税率の方が低い場合には、租税条約の税率によって課税されます。」
たとえば、香港子会社が日本の親会社に対して貸付金の利子を支払う取引においては、日本香港間の租税条約で適用税率が10%とされています。一方で、香港の税法では当該取引に対して適用される税率は0%となっています。
このような場合、所得源泉地国の適用税率(0%)<租税条約の税率(10%)となるため、租税条約により所得源泉地国の課税権を制限するまでもなく、適用税率は0%ということになります。
反対に日本から香港へ借入金の利子を支払おうとすると、原則としては20%の源泉が必要となりますが、この場合は租税条約により日本側の課税権が10%に制限されるということになります。
なお、租税条約の適用を受けるにあたっては、各国で定める所定の手続きが必要となることが多いため、そのような手続きを失念しないように注意が必要です。
5.所得源泉地国の納税方法
居住地および所得源泉地国における納税方法は、その国の税法に従うこととなります。なお、租税条約では納税方法については特に定められていません。
6.二重課税の排除方法
「日本の税法における二重課税の排除方法は、外国税額控除方式を原則としつつも、国外所得免除方式の考え方も一部併用されています。」
ただし、租税条約によって、二重課税の排除の範囲が拡大されることがあるので、租税条約を確認することも重要となります。
今回はここまでとします。
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