国際線航空券の購入費用と消費税
今回は、国際線の航空券に関連して発生する費用と消費税の関係についてです。
国際線の航空券については漠然と消費税がかからないという認識を持っているのではないかと思いますが、代金の内訳をみると、羽田空港の使用料や燃料サーチャージなどいくつかの項目から構成されており、これらは課税仕入となるのだろうかという疑問が生じます。
航空券代金
ところで、国内外の取引判定に関して、旅客の輸送については、消費税法施行令6条2項1号により旅客輸送の出発地、到着地のいずれかが国内である場合は国内取引となる旨が多くの書籍で解説されています。この部分だけ見ると「いずれかが国内」である場合には、国内取引に該当することになりますので、国際線の航空券も実は課税仕入か?んなどと頭をよぎるかもしれませんが、上記のとおりあくまで免税取引なので課税仕入には該当しません。
消費税法7条では「・・・次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。」という規定になっています。この意味するところは、原則的な理屈で考えると消費税が課税されるところ特別に消費税を免除するということです。つまり国際線の航空券の購入は国内取引かどうかでいえば、国内取引に該当するものの免税となるという建付けになっています。
海外渡航のための国内乗継便の航空券代金
最寄りの空港から国際線が飛んでいない場合、海外へ行くために最寄空港から羽田や成田へ国内線を経由することが考えられます。この場合の国内線の代金はどうなるのかです。
国内線なのだから普通に考えると消費税の課税対象なのですが、この場合の国内線代金部分も免税取引として消費税の課税対象とはなりません。
この点については消費税法基本通達7-2-4で以下のように述べられています。
(旅客輸送に係る国際輸送の範囲)
7-2-4 法第7条第1項第3号《国際輸送等に対する輸出免税》に規定する国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客又は貨物の輸送は、国内から国外への旅客若しくは貨物の輸送又は国外から国内への旅客若しくは貨物の輸送(以下「国際輸送」という。)をいうのであるが、国際輸送として行う旅客輸送の一部に国内における輸送(以下「国内輸送」という。)が含まれている場合であっても、次の全ての要件を満たす場合の国内輸送は、国際輸送に該当するものとして取り扱う。(平23課消1-35により改正)
(1) 当該国際輸送に係る契約において国際輸送の一環としてのものであることが明らかにされていること。
(2) 国内間の移動のための輸送と国内と国外との間の移動のための国内乗継地又は寄港地における致着から出発までの時間が定期路線時刻表上で24時間以内である場合の国内輸送であること。
羽田から朝一の飛行機で海外へ行く必要があるため、前日国内線で羽田まで移動したというような場合には、上記の二つの要件を満たす可能性がありますので注意が必要です。
燃料サーチャージの課否
燃料サーチャージの取り扱いについては、航空運賃の一部として消費税の可否を判定することになります。したがって、国際線の場合の燃料サーチャージは免税となります。
燃料サーチャージは、原油の高騰により航空機燃料が異常に高騰したことから、燃油価格が一定の水準に戻るまでの措置として国土交通省航空局が認めた特例的な付加運賃・料金であり、現在においても異常な高騰状態が継続していることから徴収が続いているものです。そのため、燃料サーチャージは航空運賃の一部として課否を判定するということになります(「国際取引の消費税QA」 上杉 秀文 著)。
空港施設使用料等
空港施設使用料は、空港施設の設置者が空港施設の利用者に対してその空港において受けるサービス及び施設利用の対価として徴収しているものであるため、国内空港の使用料については役務提供の対価として消費税の課税対象となります。
手配手数料
場合によっては、代理店等に依頼すると航空券の手配手数料がかかることがあります。このような手数料については、国内における役務提供の対価ですので、消費税の課税対象となります。