従業員持株会(その1)-導入割合と奨励金の水準
奨励金の割合はどのくらいが一般的?
上記のとおり、従業員持株会制度導入については、様々なメリットが考えられるものの福利厚生施策としての意義は大きいと考えられます。
では、従業員にとって気になる奨励金の割合はどれくらいが一般的なのでしょうか?
この点については、前出の「平成24年度従業員持株会状況調査結果の概要について」において、拠出金1000円あたりの奨励金の額(買付手数料や事務委託手数料に対する補助を除く)の調査結果が以下のように示されています。
なんと、平成24年度における奨励金の平均支給額は1000円あたり78.86円(約7.9%)です。感覚的には3%~5%程度だと考えていたので、思いのほか高い割合に驚きました。
奨励金支給額の分布をみると40円(4%)~60円(6%)が全体の中では最も割合が高く約41%で、次に高い割合を示している100円(10%)~150円(15%)が約31%となっています。
実際には奨励金の額を50円としている会社が848社(40.2%)、100円としている会社が687社(32.6%)となっているので、奨励金の割合は5%か10%が主流ということになります。
近年の金利を考えると10%なんていう奨励金がもらえるのであれば参加しようと考える従業員が多いのではないでしょうか(会社が倒産しそうだというのでなければ・・・)。
奨励金の税務上の取り扱い
とはいえ、会社から従業員に支給される奨励金は、きっちり給与所得として課税されることになります。したがって、従業員からすると、資産形成は図れるものの源泉所得税分だけ月々の手取りが減少することになります。
一方で、会社はこの奨励金を費用として計上することで損金算入することになります。問題は奨励金部分を何の勘定科目で処理するかですが、「給与」勘定に含めてしまう方法と「福利厚生費」で処理する方法が考えられます。
どちらが一般的なのかはわかりませんが、性質を重視するのであれば「福利厚生費」の方が妥当ではないかと考えられます。
奨励金の社会保険上の取り扱い
従業員への奨励金については、従業員持株会への加入が強制である場合には、社会保険の報酬に含まれることになります。しかしながら通常、従業員持株会への加入は任意であるため、この場合には、社会保険の報酬には含まれないと一般的に解されています。
一方で、財産形成貯蓄のため事業主が負担する奨励金等は労働保険料算定の基礎となる賃金には含まれないとされていますので、従業員持株会への拠出に対する奨励金も同様の取り扱いになります。
長くなりましたので今回はここまでとします。
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