閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

売上と売上原価の2000万円の入り繰りで課徴金約1億円?-日本アセットマーケティング

経営財務の週間「適時開示」ニュース(6/17~6/23)に「日本アセットマーケティング、アイレックスに課徴金納付勧告(6月19日)」という記事が掲載されていました。

注目したのは、日本アセットマーケティングに対する処分です。課徴金の額は1億915万円とのことでしたが、課徴金の原因は「ソフトウェアの販売取引に関して、売上高として計上した販売代金から控除すべき仲介手数料2,000万円を売上原価に計上した不適切な会計処理によるもの」と解説されていました。

これだけを読むと、売上と売上原価で2000万円入り組みが生じているだけで、利益に影響はないのに課徴金が1億円以上というのは、必要以上に重い処分に感じられます。

しかしながら、同社の監査法人は清和監査法人だったので、これだけ重い処分を下される理由があるのだろうと内容を確認してみることにしました。

証券取引等監視委員会のHPでは、課徴金勧告の原因となった法令違反の事実関係について以下のように述べられています。

(1)継続開示書類
日本アセットマーケティング株式会社(以下「当社」という。)は、ソフトウェアの販売に当たり、実体のない販売代理業務に係る契約を締結し、当該契約に基づき仲介手数料を支払うことにより資金を販売先に還流させるとともに、当該仲介手数料に相当する金額を含めたソフトウェアの販売代金を計上することにより、売上を過大に計上した。
この結果、当社は、近畿財務局長に対し、別紙1のとおり、金融商品取引法第172条の4第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」以下の有価証券報告書を提出したものである。
平成24年3月期有価証券報告書(平成24年6月28日提出)

(2)発行開示書類
当社は、近畿財務局長に対し、以下のとおり、金融商品取引法第172条の2第1項第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させたものである。

ア 平成24年9月7日、重要な事項につき虚偽の記載がある平成24年3月期有価証券報告書(別紙1参照)を組込情報とする有価証券届出書(新株予約権証券)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年9月24日、342個の新株予約権を302,642,640円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させた。

イ 平成24年9月7日、重要な事項につき虚偽の記載がある平成24年3月期有価証券報告書(別紙1参照)を組込情報とする有価証券届出書(株式)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年9月24日、379,746株の株式を299,999,340円で取得させた。

ウ 平成25年3月1日、重要な事項につき虚偽の記載がある平成24年3月期有価証券報告書(別紙1参照)を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年4月22日、1,300,000株の株式を1,690,000,000円で取得させた。

上記「(1)継続開示書類」の記載は経営財務に記載されていたのと同様の内容ですが、このほかに(2)の事実があることが分かりました。この重要な事項につき虚偽の記載がある開示書類に基づいて、資金調達を行っていたというのが、粉飾の内容からすると重すぎるのではと感じた課徴金の原因でした。

金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定によると、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となるところ、上記のとおり総額で約23億円の資金調達を行ったため約1億円の課徴金が課されることとなりました。

当時同社がどのような状況にあったのかについては、平成24年3月期の有価証券報告書の業績推移をみるとよくわかります。

2014-07-02_1

すさまじい勢いで売上が減少(といっても第9期で既に赤字なのですが・・)していくなかで、そもそも1億円に対する2000万円なので相当重要性は高いものの、それ以上に連結売上がついに1億円を切るのかどうかというのは会社にとって重要な意味を持ってたのではないかと推測されます。

ところで、この資金調達を引き受けたのは誰なのかですが、過去の有価証券報告書からすると上記イの資金調達はDESであったようです。そうであるとすると、平成24年3月期の事業報告から、アジア航測株式会社と合同会社トリコロール2ではないかと推測されます。

上記ウの16億9千万円の資金調達はドンキホーテの子会社である(株)エルエヌが割当先となっています。実際には、この資本提携により社名変更した後の名前が日本アセットマーケティング株式会社で、それ以前(資金調達当時)の社名は(株)ジアースでした。

第三者割当にあたり開催された日本アセットマーケティング株式会社(当時(株)ジアース)の臨時株主総会の招集通知によれば、ドンキホーテはデューデリジェンスを実施して発行価格を提案したと記載されています。

キャシュフローに影響はないとはいえ、売上高の約20%を占める手数料が正しく処理されていないことに気づいていたのかいなかったのか?

気になりますね。

日々成長

関連記事

  1. 「未収還付法人税等」は独立掲記必要か?

  2. 会社未公表の情報がKAMに記載された早期適用事例は、ほとんどなし…

  3. 社債で9000億を調達するガチョウは金の卵を産み続けることができ…

  4. 企業内容等開示府令の改正を確認(その2)

  5. 25年3月期の見積の変更は76件(71社)

  6. みなし取得日に発生した多額の「のれん」等を即減損した事例




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,935,986 アクセス
ページ上部へ戻る