地方法人税の仕組みを確認
今回は平成26年税制改正で導入されることとなった地方法人税についてです。
実効税率は変わらないようだということで、制度そのものはほとんど理解していなかったので、簡単に内容を確認します。
1.適用時期等
上記のとおり、地方法人税は平成26年税制改正の一環として、地方税源の偏在性を是正し、財源の均衡化を図ることを目的として、法人住民税法人税割の引下げに合わせて地方交付税の財源を確保するために創設され、平成26年3月31日に公布されました。
施行日は平成26年10月1日とされており、同日以後開始する課税事業年度の基準法人税額に対する地方法人税について適用することとされています。
したがって、3月決算の会社の場合は平成28年3月期から適用されることとなります。
なお、中間申告については、さらに1年先の平成27年10月1日以後に開始する課税事業年度の申告から適用することとされています。
2.納税義務者
納税義務者は、法人税を納める義務がある法人となっています。
そのため、連結納税制度を選択している場合は、連結親法人のみが地方法人税の納税義務者となるという点は住民税法人税割と異なります。
また、一般的な事業会社では意識する必要はないと思いますが、地方法人税の納税義務者と法人住民税の納税義務者が必ずしもイコールではありません。たとえば、社会福祉法人等で一定の要件を満たす場合は、住民税上は収益事業の範囲に含まれず納税義務を負わなかったものが、法人税上はそのような規定がないため地方法人税は納税義務を負うことになります。
3.課税対象
地方法人税は、法人の各事業年度の
(1)法人税の確定申告書を提出すべき内国法人及び外国法人
各事業年度の所得に対する法人税の額
(2)法人税の連結確定申告書を提出すべき連結親法人
各連結事業年度の連結所得に対する法人税の額
(3)法人税の退職年金等積立金確定申告書を提出すべき法人
各事業年度の退職年金等積立金につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定により計算した法人税の額
4.課税標準及び税額
(1)課税標準
地方法人税の課税標準は、各課税事業年度の課税標準法人税額(=基準法人税額)となっています(第9条)。
(2)税額
地方法人税の額=各課税事業年度の課税標準法人税額×4.4%
(3)地方法人税から控除される金額
次の1.又は2.の金額は、上記の算式により計算された所得地方法人税額から控除することとされています。このとき、まず1.の金額を控除した後に、2.の金額を控除することとされています(第14条)。
- その課税事業年度の控除対象外国法人税の額のうち法人税の額から控除できる金額(法人税の控除限度額)を超える金額
- 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税の還付の特例の適用を受けた金額
5.申告、納付及び還付
(1)中間申告
法人税の中間申告書を提出すべき法人は、課税事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内に、税務署長に対し、地方法人税の中間申告書を提出しなければなりません(第16条、第17条)。
ただし、地方法人税中間申告書を提出すべき法人がその地方法人税中間申告書を提出しなかった場合には、その法人については、その提出期限において、税務署長に対し地方法人税中間申告書の提出があったものとみなされます(第18条)。
(2)確定申告
法人は、原則として各課税事業年度の終了の日の翌日から2月以内に、税務署長に対し、申告書を提出しなければなりません(第19条)。
(3)納付及び還付
中間申告書または確定申告書を提出した法人は、これらの申告書の提出期限までに、地方法人税を国に納付しなければなりません(第20条、第21条)。
欠損金の繰戻しによる法人税の還付請求書を提出した法人に対して還付所得事業年度または還付所得連結事業年度に該当する課税事業年度に係る法人税を還付する場合において、課税事業年度の確定地方法人税額があるときは、法人に対し、確定地方法人税額のうち、法人税の還付金の額に100分の4.4を乗じて計算した金額に相当する金額が併せて還付される(第23条)とされています。
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