平成27年度税制改正大綱(その2)-繰越欠損金控除限度の引き下げ
前回に引き続き平成27年度税制改正大綱についてです。今回は、課税ベースの拡大措置に位置づけられている繰越欠損金に関連する内容を取り上げます。
まず、中小法人等については、現行措置が維持されるため、改正大綱どおりに改正されても特に問題はなさそうです。むしろ、平成29年度からは、繰越欠損金の繰越期間が現行の9年から10年に延長される予定ですので、メリットがあるということになります。
一方で大企業にとっては、それなりにインパクトのある改正となりそうです。中小法人等と同様に平成29年度から繰越期間が10年に延長されるものの、繰越控除限度額は2段階で引き下げられることが予定されています。
大綱で想定されているスケジュールは以下のとおりです。
平成27年度 繰越限度額65%(現行80%)、繰越期間9年(現行同じ)
平成29年度 繰越限度額50%、繰越期間10年
大きな欠損後は事業の立て直しに資金が必要なことも多いと思いますが、そのような中で業績が上向いても税金でもっていかれてしまう割合が増えるというのは、やりすぎなのではないでしょうか。
ただし、経営再建を行う企業や新設法人については7年間100%控除を認める仕組みが導入される予定となっています。
すなわち、更生手続、再生手続開始のの決定があったこと等の事実が発生した法人については、その決定等の日から更生計画認可の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度又は各連結事業年度については、控除限度額を所得の金額又は連結所得の全額とするということになっています。
また、新設法人については、法人設立の日から同年以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度又は各連結事業年度については、繰越限度額を所得の金額又は連結所得の金額とするとされています。
新設法人に対する制度は、赤字が先行しやすいベンチャー企業を支援し、雇用やイノベーションを生み出す起業を支援することを目的としています。
更生手続きや再生手続きの場合も新設法人の場合も、株式を上場した場合には、上場日以後に終了する事業年度又は連結事業年度から上記の制度の対象外となります。
会計的には、繰越欠損金に対する繰延税金資産を計上できる金額が減少する可能性があり、多額の欠損金を計上したような場合には、大きな影響が生じる可能性があります。
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