平成27度の労働保険の年度更新-改正点は?
今回は平成27度の労働保険の年度更新についてです。
すでに6月1日より更新手続の期間が開始となっていますが、年度更新の手続期限は7月10日となっています(例年どおり)。
以下、平成27年度の年度更新の変更点を確認します。
1.労働保険料率の改正
平成27年度は労災保険料率が引き下げられている業種が多くなっています。全54種のうち、労災保険料率が引き下げられたのは23業種となっています。
一方、保険料率が引き上げられたのは8業種、残りの23業種は据え置きとなっています。
なお、「その他の各種事業」については3/1000で変更はありません。
例えば「鉄道又は軌道新設事業」では従来の17/1000から9.5/1000へ、「水力発電、ずい道等新設事業」では従来の89/1000から79/1000へと大きく労災保険料率の引き下げられています。ただし、多くの事業では0.5/1000から1/1000程度の引き下げとなっています。
一方で保険料率が引き上げられているのは、「繊維工業又は繊維製品製造業」や「倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業」などですが、引き上げ率は0.5/1000から1/1000程度となっています。
また、海外派遣者の特別加入に係る第3種特別加入保険料が従来の4/1000から3/1000に引き下げられていますので注意が必要です。
その他の業種について改正前後の労災保険料率は、厚生労働省のこちらのページで確認することができます。
2.労務費率の改定
特定の事業にしか関係しませんが、請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)が改定されました。
下記のとおり全般的に労務費率が大きくなっています。
(出典:厚生労働省「 資料5 労務費率表(改正前後比較)」)
3.請負金額の取扱いの改正及び労務費率の暫定措置の廃止
これも特定の業種にしか関係しませんが、以下の2点が改定されています。
①請負金額には、消費税額を含まないものとされました。
②賃金総額の算定に当たり、請負金額に 108 分の 105 を乗じている暫定的な措置が廃止されました。
①については、従来建設の事業における有期事業の一括の要件に係る請負金額の金額要件が消費税込みで1億9000万円未満とされていたものが、平成27年4月1日以降は、消費税抜きで1億8000万円未満とされています。
また、建設の事業における有期事業のメリット制の要件に係る請負金額の金額要件についても、従来の消費税込みで1億2000万円以上から、消費税抜きで1億1000万円以上に改定されています。
②については、請負金額が消費税抜きとされたことによって、従来の暫定的な取り扱いが廃止されたものです。
4.雇用保険料率は据え置き
雇用保険料率については平成26年度から変更はなく、以下のとおりとなっています。
以上、それほど大きな変更はありませんので、期限内にきっちり年度更新の手続きを行いましょう。