役員変更登記手続きの改正点
以前、”役員の就任登記に本人確認書類が必要となるそうです”というエントリで、役員就任の登記時に本人確認書類の添付が必要となるという内容を紹介しましたが、ビジネスガイドの2015年7月号に「これだけは知っておきたい!役員変更登記手続きに関する改正点」(司法書士・行政書士 永渕圭一氏)で改正点が解説されていたので改めて取り上げます。
1.役員就任時の本人確認証明書の添付
役員就任登記時に本人確認証明書の添付が必要となる改正が行われたというのは以前も記載したとおりですが、「今回の改正では再任の場合は対象外」とされています。
したがって、社外取締役を新たに選任したような場合は、登記にあたり本人確認証明書の添付が必要となりますが、既存の役員が任期満了により再任されたようなケースでは本人確認証明書の添付は不要となります。
また、登記の申請にあたり印鑑証明書の添付が必要とされている場合には、本人確認証明書の添付は不要とされています。
2.本人確認証明書とは?
本人確認証明書とは、「取締役等の就任承諾書に記載された氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市区町村その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等が原本と相違ない旨を記載した謄本を含む。)」とされており、具体例としては以下のようなものがあるとされています。
- 住民票記載事項証明書(住民票の写し)
- 戸籍の附票
- 住基カード(住所が記載されているもの)
- 運転免許証等のコピー
番号法施行後は、個人番号カードなども本人確認証明書に該当するものと考えられます。
3.総会議事録を就任承諾書として援用する場合
中小企業では、役員就任時に書面で就任承諾書をもらっていないケースも多いのではないかと思いますが、今回の商業登記規則の改正によって、は株主総会議事録の記載等に注意が必要となります。
従来は、役員に選任された者の氏名および「被選任者は席上その就任を承諾した」旨が株主総会議事録に記載されていれば、当該株主総会議事録を就任承諾書として援用することが認められていました。
「しかし、今回の改正により、役員の本人確認証明書の添付が必要な登記申請において、株主総会議事録に当該役員の住所の記載がない場合には、別途、当該役員が住所を記載し記名押印した就任承諾書の添付が必要とされました。」
したがって、従来通り、株主総会議事録を就任承諾書として援用しようとする場合には、株主総会議事録を作成する際に、当該役員の住所を記載することを失念しないようにしなければなりません。
4.役員欄への婚姻前の氏の記載
詳細は割愛しますが、今回の改正により、戸籍上の氏名に加え、婚姻前の氏も記録することを選択することが可能となっています。
2015年8月26日までであれば、現に登記されている役員等の婚姻前の氏の記録について、登記申請とは関係なくいつでも申し出をすることができるとされています。
2015年8月27日以降は、役員就任の登記等、一定の登記と同時でなければ申し出をすることができなくなります。
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