国内代理店経由で電気利用通信役務を外国法人に提供した場合の消費税
日本の法人がクラウドサービス等の電気利用通信役務を海外顧客(外国法人)に提供した場合、平成27年10月1日以降は消費税が課せられないこととなっていますが、自社のサービスを国内の販売代理店が外国法人に販売した場合、消費税の取扱いはどうなるのだろうというのが今回のテーマです。
結局サービスを提供するのは自社なので・・・、などと考えましたが、税理士さんにも確認したところ、結論としては、この場合自社と販売代理店間は国内取引として消費税の課税取引となり、販売代理店と海外顧客の取引は国境を越える電気利用通信役務取引として不課税取引となるだろうとのことです。
消費税が増税された際に、3%分の消費税を追加請求した際に支払ってもらえない販売代理店がいたトラウマから、上記のようなケースで販売代理店が文句を言ってくるのではないかというのが頭を悩ませた発端ですが、家電等の有形物で考えれば、国内の販売代理店が海外に自社製品を輸出することもあり、その場合は免税取引となるのと同じようなものなので(厳密には課税売上割合等の計算に影響を及ぼしますが)、よくよく考えると普通の取扱いと言えるのではないかと思います。
そうすると、販売代理店側での仕入に対する消費税の取扱いがどうなるのかが問題となりますが、この点については、消費税法基本通達11-2-3で以下のように述べられています。
(国外取引に係る仕入税額控除)
11-2-13 国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等がある場合は、当該課税仕入れ等について法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるから留意する。
この場合において、事業者が個別対応方式を適用するときは、当該課税仕入れ等は課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。
上記より国外取引に係る仕入についても個別対応方式を採用していれば全額仕入税額控除がとれるということになりますので、代理店が大きな不利益を被ることはないといえそうです。
ちなみに不課税取引に係る仕入税額控除で調べていくと、消費税基本通達11-2-16に「(不課税取引のために要する課税仕入れの取扱い)」というものがあります。この通達によると、該当する仕入は、個別対応方式を採用している場合、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとして取り扱うとされています。
国外取引も不課税取引ですが、ここでいう不課税取引は「例えば、株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費、証券会社へ支払う引受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等」とされており、国内取引の不課税取引に関連する仕入税額控除の場合であり、国外取引については素直に上記の11-2-13に従えばよいようです。
日々成長