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海外からのソフトウェアの購入方法と源泉徴収の要否

今回は、月刊国際税務の2015年11月号の「自社製品に組み込むソフトウェアの購入対価と源泉徴収の要否」という記事を参考に海外からソフトウェアを購入した際の源泉徴収の要否について取り上げます。

上記の記事では、海外のソフトウェア開発会社からメディアを購入(1ライセンスについて1枚のメディアを取得)して自社製品にプリインストールして販売する場合と、インターネットからダウンロードしてインストールして販売する場合の取扱いについて取り上げられており、結論としては以下のとおりです。

メディアを購入してインストールする場合の対価
 ⇒源泉徴収不要

ダウンロードしてインストールする場合の対価
 ⇒源泉徴収するのが無難

1.「著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価」

そもそも海外からソフトウェアを購入した場合に源泉徴収が必要となるのは、当該支払対価が所得税法第161条第7号ロに定められている「著作権(出版権及び著作隣接権その他に純ずっるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価」に該当する場合となります。

そこで、「著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価」が何を意味するのかが問題となりますが、「裁決例及び現行の課税実務においては、この条文は、日本の著作権法と完全にリンクするものと解されています」とのことです。

したがって、所得税法と著作権法が完全にリンクしていると解されていることから、支払対価が使用料に該当するか否かについても著作権法の考え方に従って判断することとなります。

著作権法では、権利者の許諾を得ることなく行ってはならない行為が、法定利用行為として以下のとおり限定列挙されています。
・複製権(21条)
・上演権及び演奏権(22条)
・公衆送信権等(23条)
・口述権(24条)
・展示権(25条)
・頒布権(26条)
・譲渡権(26条の2)
・貸与権(26条の3)
・翻訳権、翻案権等(27条)
・二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)

対価を支払ってソフトウェアを取得し、業務等に用いる等の行為が上記で定められている著作権法上の権利侵害に該当しなければ、著作権の使用料に該当する余地はありません。逆に、取得したソフトウェア等を権利者の許可なしに業務に利用する行為が著作権法上の権利侵害にあたるのであれば支払った対価は著作権の使用料と考えられるということになります。

2.メディア購入で自社製品にインストールする場合

ソフトウェアをメディアで購入してインストールする場合に、著作権法上問題となるのは、インストールの部分だけとなります。

自分で購入したソフトウェアの場合あまり明確に意識しないかもしれませんが、ソフトウェアのインストールは、著作権法上、複製行為に該当し、原則として権利者の許諾を要します。

しかしながら、著作権法第47条の3(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)において「プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。」とされていることから、インストールという複製行為を権利者の許諾なしに行うことができるということになっています。

よって、ソフトウェアをCD-ROM等のメディアで購入してインストールする場合、これらの行為には著作権法上、権利者の許諾を要する行為は含まれていないので、支払対価が著作権の使用料に該当する余地はなく、源泉徴収は不要という結論になります。

3.ダウンロードして自社製品にインストールする場合

冒頭のとおりメディアで購入してインストールする場合と結論が異なるのですが、これは著作権法第47条の3第1項は、「権利者の許諾なくして自由にインストール(複製)を行える者を複製物の「所有者」に限定しており、それ以外の者に当該複製を認める特別の規定が、著作権法には存在しない」ことによるものです。

したがって、経済的な実態としてはどちらも大差ないものの、ダウンロードしてインストールする場合は、インストールにあたって権利者の許諾を要すると解する余地があり、課税実務の大勢はこの点に着目し、ダウンロード方式の場合に支払われる対価は、インストールに係る複製権の許諾を対価として「著作権の使用料」に該当し、源泉徴収を要するとしているとのことです。

結論が大きくことなるのは、取引の実質に着目すると不合理ではありますが、源泉徴収漏れを税務調査で指摘されないためにも、覚えておいて損はないと思います。

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