ホテル代の高騰に対する企業の対応状況ー労政時報調べ
訪日外国人が増加した影響でホテル代が高騰しています。観光やお偉いさんが利用するような高価なホテルであればまだしも、サラリーマンが出張時に利用するようなビジネスも価格が高騰していたり満室であることが多くなっています。
上司から宿泊の手配を依頼されて、困った経験をもつ担当者も増えてきているのではないかと思いますが、労政時報3905号に同誌が実施した「国内出張時の宿泊料に関するアンケート」の結果が掲載されていました。
有効回答数は322社ですが、このうち82%が、最近のホテル代の高騰を認識していると回答しています。なお、ホテル代の高騰を認識しているという回答は規模が大きいほど多く1000人以上の規模では86.5%と高くなっている一方で、ホテル代の高騰等を特に感じていいないは300人未満の規模で多く20.3%となっているというのは興味深いところです。
実際のところはどうかですが、一般社団法人全日本シティホテル連盟の公表しているデータによると、関東地方における1人室バス付きの客室料金は2014年が7,574円に対し2015年は9,254円と約22%上昇しています。近畿は2014年6,031円、2015年6,394円と若干の増加となっている一方で、中部は2014年が5,471円に対して2015年が7,558円と38%増加となっています。
中部地方の上昇率ですが、静岡空港が中国からのインバウンドで復活したということもあり、宿泊代金も高騰しているということだと考えられます。
国内出張時の宿泊料等は役職により金額に違いがあると回答した企業が全体の約64%で、地域差なしの場合の平均値でみると一般社員が9,284円、課長クラスで10,092円となっています。
では、所定の宿泊料で賄えなかった場合どうするかですが、この場合は「やむを得ない場合は、超過額を実費補償している」が73.8%で主流となっているとのことです。出張は、業務命令でいくものですので「やむを得ない」のであれば、労働者からすれば当然の対応というところですが、一方で「規定額を超過しても、特に補償はしない」という会社も22.9%あるとのことです。
もっとも実費にかかわらず定額が支給されるというような運用であれば、超過した場合にも補償はしないという運用も設定されている基準金額が妥当であれば考えられます。
次に、宿泊料金の高騰を受けて、宿泊料の見直しを検討しているかについては、「ホテル代は高騰しているが、宿泊料は見直さない」としている回答が全体の約47%で、見直し予定または検討しているが約29%となっています。
中国の景気も怪しいので、現在のような状況が継続するかは不透明なのでしばらくは超過分は実費補償するものとして運用しておこうということなのかもしれません。
最後に、ホテル代の高騰を受けて宿泊料の見直し以外に何らかの対策を取っていると回答した企業が約43%で、対策の内容としては、テレビ・インターネット会議を活用するという回答が約64%(複数回答あり)と最も多く、これにインターネットサイトの利用などにより宿泊先を確保するが約59%となっています。
インターネットサイトの利用などにより宿泊先を確保するというのは、いままでやっていなかったのかというのが驚きですが、インターネットを利用した会議は比較的安価に利用できるようになっていますので、今後更に利用がすすんでいくのではないかと思います。
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