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元子会社の粉飾で親会社が損害賠償責任を負うこととされた事例

エナリスの粉飾に関連して登場した石山Gateway Holdings㈱(以下「石山GW」)ですが、同社はその後平成27年7月31日付をもって上場廃止となっています。

東京高裁(平成28年1月21日)で粉飾決算に関連して同社に損害賠償を認める判決が下されたという記事を読んで、同社が上場廃止になっていたこと、さらに別の粉飾で損害賠償を求められていたということに気づきました。

石山GWのHPを確認すると、確かに平成27年5月22日の「本日の一部報道について」、同27日の「金融商品取引法違反容疑による当社代表取締役の逮捕に関するお知らせ 」と続き、その後、重苦しいIRが多数公表されていました。

金商法違反の内容については、平成27年6月15日にリリースの中で「当社及び元当社代表取締役らに対する嫌疑は、当社及び当社子会社がバイオディーゼル発電機の販売設置をした事実がなく、これによる売上及び利益の増加見込みがないにもかかわらず、業績予想の上方修正をする旨を公表し、もって有価証券の取引のため及び有価証券の相場の変動を図る目的をもって偽計を用いたというものであります。」とされており、結果的に「嫌疑」ではなくその通りだったので上場廃止にまでなったということのようです。

ただ、上記は「平成26年6月期第2四半期累計期間及び通期の連結業績予想につき上方修正する旨の虚偽の内容を含む「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表し、これにより有価証券の取引のため及び有価証券の相場の変動を図る目的をもって偽計を用いた」ということで、私が読んだ記事で取り上げられていた内容は別物のようでした。

東京高裁の判決で争われていたのは、札幌証券取引所に上場していたインネクスト社が第4期(平成19年6月期)から第8期にかけて行っていた粉飾に係るもので、インネクスト社は石山GWの持分法適用関連会社でした。

粉飾時には関連会社であったもののインネクスト社は元石山GWの子会社であったこと、石山GW代表取締役がインネクスト社の株式を保有していたことなどから同社の経営に強い影響力をおよぼしていました。インネクスト社は、第4期に上場を果たしたものの、上場後最初の決算で赤字となることが予想される事態となりました。

インネクスト社の代表取締役は石山GWの代表取締役に対し、決算が赤字になる見通しである旨を説明したところ、石山GWの代表取締役は「上場直後の小さな企業が赤字に転落したら企業は信用を失って存続できないから赤字はだめだ、赤字は許さない」などと発言し、インネクスト社は第4期から粉飾に手を染めたとのことです。

最終的に粉飾に手を染めたのは会社自身であるものの、一方で、このような発言で粉飾に手を染めなければならなかったとすれば、インネクスト社は実質石山GWに支配されていたといえそうです。

この損害賠償をおこした法人は、粉飾決算公表後に取得原価約5,000万円(単価1万6,600円)の株式を約230万円で売却し、生じた損害約4,770万円を粉飾決算により被った損失としてインネクスト社の代表取締役および元親会社である石山GWおよびその代表取締役らに請求する訴訟を提起しました。

一審の判決後、インネクスト社の代表取締役と訴えを起こした法人との和解が成立したため二審は石山GWの損害賠償責任の有無が争われることとなりましたが、東京高裁は、GW社の代表取締役がインネクスト社の代表取締役に対し粉飾を教唆したことを不法行為と認定し、代表取締役が職務として行った粉飾について石山GWは会社法350条に基づく賠償責任を負うとして石山GW社の賠償責任を認めた一審の判決を支持し、石山GW社の控訴を斥けました。

ただし、原告が請求した約4,770万円の損害賠償に対して、裁判所は同社が第4期の決算報告書などを参考に第5期中に取得していることから、同社が被った損害は第4期の粉飾に関する株価下落分に限られるとして、第4期の虚偽記載公表による損害額を株価下落分の15%相当額(約450万円)と認定したとのことです。

粉飾を数期間にわたり行っており、段階的にそれが公表されているわけではないですし、仮に第4期で粉飾が発見されていれば株価の下落額全額が損害額として認定されていた可能性もあると思われるので、上記のような損失の判断は株主にとっては厳しい気がします。

親会社はこのような責任を負うことがあるということを改めて認識しておきましょう。

日々成長

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