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未適用の会計基準等(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針)記載上の注意点

経営財務3256号で平成27年12月決算会社の「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の取扱い状況の調査結果が掲載されていました。

1.原則適用と早期適用の選択社数

平成27年12月期の有価証券報告書に「未適用の会計基準等」として上記適用指針を記載していた会社あ170社で、原則適用(平成29年12月期の期首から適用)としていた会社は153社だったとのことです。

早期適用(平成28年12月期の期末)を選択していた会社は5社で、残りのうち7社は「検討中」、2社が「未定」、1社が「適用予定なし」とのことです。

「適用予定なし」という記載を行ったのは花王で、同社は平成28年12月期第1四半期からIFRSを任意適用するため、このような記載になっているとのことです。

なお、早期適用を選択した5社のうち3社は、基準上早期適用が可能となるのが平成28年12月末からであるところ、平成28年12月期の期首からと記載していたとのことです。3月決算会社でも、原則適用の記載をベースに注記を作成すると誤ってしまう可能性があるので注意が必要です

2.適用による影響額は?

上記適用指針の適用による影響額は「評価中」が159社で圧倒的に多く、「未定」が6社、「軽微」が1社、「検討中」が1社、花王は「評価していない」、記載なしが2社とのことです。「未定」も「検討中」も「評価中」と同じ意味だと考えられますので、12月決算会社においては「評価中」が一般的な表現だったといえます。

適用指針が公表されたのが12月28日であったので、12月決算会社では「評価中」という記載が多かったという解釈もあり得ますが、スケジューリング不能な一時差異をかかえる分類2の会社にあっては、従来であれば繰延税金資産の計上が認められなかったものが、特定の状況下では繰延税金資産の計上が可能となることがあるので、結果的に当該適用指針の影響があるのかないのかは、何ともいえないということもあるのかなという気はします。

金額的に重要なスケジューリング不能差異をかかえているような場合に影響額を記載するのであれば「財務諸表作成時点において」という枕詞をおいて「軽微」等と記載することも考えられます。

3.12月決算会社にみられた不適切な記載例

上記に記載した早期適用選択時の適用開始時期の記載誤りの他、経営財務の記事では「企業結合基準に関する記載の中に回収可能性指針に関する記載を混在させる記載ミスをいくつか確認した」と述べられています。

意味がよく分からないので、具体的な事例を検索してみたところ、どうやら下記のような記載を行っている会社があったということのようです。

(未適用の会計基準等)
・「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)
・「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)
・「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日)
・「1株当たり当期純利益に関する会計基準」(企業会計基準第2号 平成25年9月13日)
・「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号 平成25年9月13日)
・「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第4号 平成25年9月13日)
・「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号 平成27年3月26日)
・「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 平成27年12月28日)
(1)概要
 子会社株式の追加取得等において、支配が継続している場合の子会社に対する親会社の持分変動の取扱い、取得関連費用の取扱い、当期純利益の表示及び少数株主持分から非支配株主持分への変更並びに暫定的な会計処理の確定の取扱い等について改正されました。
(2)適用予定日
 平成28年12月期の期首から適用します。
 なお、暫定的な会計処理の確定の取扱いについては、平成28年12月期の期首以後実施される企業結合から適用します。
(3)当該会計基準等の適用による影響
 「企業結合に関する会計基準」等の改正による連結財務諸表に与える影響額については、現時点で評価中であります。

企業結合関係については、他にも関連する基準等がある中で主要な基準と主要な項目についてまとめて記載されているので、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」もここに追加してしまったと推測されます。

「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」を早期適用すると記載したのは5社とされていましたが、上記のような会社を含めると実数はもう少し多いのかもしれません。

3月決算会社では、証券印刷の記載例や12月決算会社の適切な記載事例が多く存在するので上記のような記載をする可能性は低いと考えられますが、「いくつか」見られたとのことですので注意が必要です。

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