法人税法上の役員報酬の取扱い(その1)-定義・みなし役員など
みなし役員として取り扱われる者としては、以下の二つのパターンがあります。
①相談役、顧問等で職務等からみて他の役員と同様に実質的に会社の経営に従事していると認められる者です。
②同族会社の使用人のうち、以下の条件のすべてを満たすもので、経営に従事しているものはみなし役員として取り扱われます。
- 同族会社の株主グループのうち、上位3位グループ以内で所有割合が50%を超えることとなる場合、当該50%超を構成している株主グループに所属していること。
- その所属する株主グループの所有割合が10%超であること。
- その者とその者の配偶者、ならびにこれらの者の所有割合が50%超である他の会社の所有割合の合計が5%超であること。
「経営に従事」とは?
「会社の経営に従事」していることが「みなし役員」として取り扱われる要件となっていますが、「会社の経営に従事」とはどの程度のことをいうのかが問題となります。
特に中小企業において事業承継が問題となっており、先代が顧問などの肩書きでしばらく会社に関与し続けるということも増加するのではないかと思います。このような場合に、役員として残っている場合には、文字通り役員なので特に問題はありませんが、「顧問」などの肩書きで会社に残っている場合、みなし役員に該当するのか否かによって、報酬の支払いへの気の使い方が異なってきます。
この点につき、税務通信3294号「税理士が教える 勘定科目別税務の着眼点<第15回 役員給与②>」では、「みなし役員には、法人の経営に従事(具体的には、資金計画、設備計画、販売計画等の策定に参画したり、重要な人事や給与の決定に関与)していること」と解説されており、「法人税の実務Q&Aシリーズ 役員給与・使用人給与」(濱田康宏 著 中央経済社)では、「古い裁判例では、地裁レベルに留まりますが、文字どおり、経営タッチ程度でも否認されているものがあります」としつつも、趣旨からすれば、
・代表者に準じる程度に経営者としての行動が認定できる
・実質経営者との事実が認定できる
というような状況で初めで「経営に従事」といえる者と考えられるという見解が示されています。
上記からすれば、決裁権限や重要会議への出席状況、出社日数などから実態で判断するということで問題ないように思います。
長くなりましたので今回はここまでとします。