返金伝票綴りで過怠税-「判取帳」って何?(印紙税)
T&A master No.642に”返金伝票綴りは印紙税の対象、過怠税めぐり企業側敗訴”という記事が掲載されていました。
結論として、裁判所は「返品伝票綴り」が1冊4,000円の「判取帳」に該当すると判断したとのことです。
判取帳? なんだそれは?
と、改めて印紙税を確認してみると、第20号文書に「判取帳」なるものが確かに存在していました。「印紙税 取扱いの手引き(公益財団法人 納税協会連合会)」によると、「判取帳」は、2以上の取引先から代金の受領事実の付込証明を受けるための帳簿」と解説されます。
「付込証明」・・・。自分の国語力のなさが情けなくなってきますが、「付込証明」とはなんなんだと調べてみると、どうやら「記載内容の証明」という程度の意味のようです。
さて、ようやく基本的な内容が理解できたところで、上記の記事で取り上げられていた事案の内容を確認していくこととします。
この事案で問題となったのは3枚1組の複写式のお客様返金伝が100組綴られている冊子形態のもので、返品等を受け付けたときに3枚複写のうち事務所控(2枚目)、商品添付用(3枚名)を切り離し、売場控(1枚目)のみが伝票の綴りに残るようなものであったとのことです。
そして、裁判所は、伝票綴りの冊子の表紙には綴られた100枚の伝票の連続番号の範囲等が記載されていること、お客様返金伝票の1枚目は切り離されずに保管・管理されていたこと等を踏まえ、お客様返品伝票(売場控)のみが残された伝票綴りは1冊の冊子として物理的な存在形態の一体性が認められることから、その伝票綴り全体をもって「一の文書」に該当すると判断したとのことです。
その上で、伝票の文書自体の形式・内容のほか、使用方法および使用実態の諸点からみて、伝票綴りは複数の顧客から金銭の受領の事実につき付込証明を受ける目的で作成されたものであると認定し、「2以上の取引先から代金の受領事実の付込証明を受ける目的で作成」されたものであるとし、伝票綴りは店舗で多数回発生する商取引に関して金銭の受領事実という課税事実を継続的または連続的に記載証明する目的で作成された「帳簿」であると判断したしたとのことです。
以上から、当該企業は3年間で保有していた270冊の伝票綴りに対して過怠税324万円の課税処分をおこなった税務当局の処分は適法と判断されたとのことです。
「付込証明」となるものなので、返金を受けた顧客の受領印や受領サインがなされていたと推測されますが、仮にサイン部分は複写でなく、サインがある部分が事務所控として切り離されるようなタイプであったら結論は変わっていたのかもしれません。
時代に逆行している税目だとは思うものの、問題となった場合に大きな課税が生じる可能性もあるので無視もできないのが歯がゆいところです。