定率法から定額法への減価償却方法の変更傾向は継続しているようです
経営財務3265号のニュースに”会計計方針変更、27年4月~28年2月期は72社・78件”という記事が掲載されていました。
上記の集計に3月決算会社は含まれていませんが、昨年の同時期の記事によれば26年4月~27年2月期の会計方針の変更は47社・47件でした(経営財務3265号)。
単純に社数および件数を比較すると大きく増加しているように見えますが、27年4月~28年2月期は78件のうち41件が新会計基準の早期適用によるものですので、それ以外は37件で、このうち固定資産の減価償却の方法が14件となっています。
一方前年同期は、全47件中18件が新会計基準の早期適用によるのもですので、それ以外が29件、このうち減価償却方法の変更が15件でした。
新会計基準の早期適用を除いて件数を比較すると8件の増加となりますが、項目別にみると27年4月~28年2月期には収益及び費用の計上基準を変更が4件と前年同期0件と比較すると特徴があります。
IFRS15や日本でも収益認識の会計基準が検討されていることと関係があるのか、気になるところですので、本題とはそれますが収益及び費用の計上基準で変更を行った4社について内容を確認してみることとしました。
1.VOYAGE GROUP(平成27年9月期)
(会計方針の変更)
(収益認識基準の変更)
当社グループのアドテクノロジー事業の一部においては、従来、報告書到着基準により収益を認識しておりましたが、当連結会計年度より、役務提供完了基準に変更いたしました。この変更は、顧客との取引関係において実態により即したものにすべく、一部の広告主より提供される概算報告数値の精度向上、及びこれに対応する社内のシステムの整備が完了したことから、売上の実態をより適切に反映させるために行ったものであります。
同社のように報告書が来ないと売上金額が確定できないというケースは比較的よくあると思いますが、報告書到着基準で収益認識するのは監査で認めてもらえないこともあります。
同社は、会計方針の変更を遡及適用し、影響額については「前連結累計期間の売上高は175百万円増加、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ68百万円増加、当期純利益は20百万円増加」と記載しています。同社の連結売上高が152億円(前期)であることからすると、それほど大きなインパクトもなく、おそらく監査が完了するまでには、報告書が到着し実際の影響額を把握することができていたで監査上もOKされていたものと推測されます。
前期と当期の有価証券報告書のセグメント情報を比較してみると前期まで2番目に記載されていた「アドテクノロジー事業」が1番目に記載されるようになっていることから今後はこの事業の重要性が高まっていくということが見込まれているということも予想されます。
なお、「アドテクノロジー事業の一部」で収益認識を変更したとしつつ、「メディア事業」の売上高も少し変動していました。