平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(実務対応報告第32号)が公表されました
3.当事業年度に新たに取得した建物附属設備や構築物がない場合注記が必要となるのはいつか?
この点については、第17項で以下のように述べられています。
17. また、第2 項に記載する実務上の取扱いは、平成28年度税制改正に合わせて会計方針を変更する場合に適用されるものであることから、平成28年4月1日以後、建物附属設備又は構築物を取得したかどうかにかかわらず、当該税制改正に合わせて減価償却方法を定額法に変更する場合、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うことを意図している。
したがって、当事業年度中に新規に建物附属設備や構築物を取得していなくても、取得が発生した場合に、減価償却方法を定率法から定額法へ変更するのであれば、当事業年度において注記を行っておくということとなります。
4.平成28年4月末で四半期報告書を提出済みの場合の取扱いは?
少し前に、”4月(四半期)決算会社の平成28年度税制改正による減価償却方法の変更の取扱いは?”でも取り上げたように、4月末に四半期報告書を提出した会社はどうなるのかですが、この点についてはコメント対応で以下のように述べられています。
(コメント)
平成28年4月1日以後最初に終了する四半期会計期間に係る四半期報告書の提出が本実務対応報告の公表日前である場合、本公開草案第4項の注記は本実務対応報告の公表日後最初に到来する四半期会計期間又は事業年度に行うことでよいか。
(コメント対応)
左記の場合、本実務対応報告は、公表日以後最初に終了する四半期会計期間に適用することとなる。
4月末に決算日をむかえた会社の取扱いをみると、法人税法の改正によって減価償却方法を変更した旨を注記している会社もいくつか事例としては見られます。
実務対応報告が確定していないため平成23年度税制改正時と同様「会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更」として取り扱っているケースもあれば、会計方針の変更に「有形固定資産の減価償却方法の変更」と当然のごとく記載しているケースもあります。
記載を行った会社の大部分は、影響額が軽微である旨の記載がありますので、4月中に取得した資産がある以上、何らかの記載を行わないとならないという判断で何らかの記載を行ったものと推測されます。
ただし、「影響額はありません」と記載している会社も中にはありました。
個人的にめずらしいと感じた記載例としては、(株)日本ハウスホールディングスの事例がありました。
(減価償却方法の変更)
平成28年度税制改正に係る減価償却方法の改正(平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物の法人税法上の減価償却方法について定率法が廃止され、定額法のみとなりました。)を当第2四半期連結累計期間から適用し、平成28年4月1日以後に取得する当該資産に係る減価償却方法を定額法に変更しております。
これによる損益に与える影響は軽微であります。
この注記が次の四半期でどのように変化するのかは確認してみたいと思います。