東証本則市場の社外取締役2名以上選任は約6割も増加が見込まれます
経営財務3264号に”CGコード 「独立社外取締役2名未満」の説明事例”という記事が掲載されていました。
その記事によると東証が平成27年末時点で一部または二部上場1,858社の「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を調べた結果、原則4‐8を実施した会社は1,069社(57.5%)、実施せずにその理由を説明した会社は789社(42.5%)だったとのことです。
東証の本則市場の上場企業といっても、新興市場とあまりかわらない規模の会社も相当数あることを勘案すると、感覚的にはそんなものかなという気はします。
説明を選択した会社が約800社もあるので、事例としてはそれほどめずらしいわけではありませんが、同誌では「独立取締役1名が責務を十分に果たしている」、「適任者の選定に至らない」等の説明が多くみられたと分析されています。また、”「次の定時株主総会で選任し、独立社外取締役を2名体制にする予定」など、具体的な実施時期を明記した事例も散見される”とされていることからすると、社外取締役2名以上の体制となる会社の割合はさらに上昇することが見込まれます。
また、これとも関連していると推測されますが、監査等委員会設置会社へ移行する社数も大きく増加しています。2015年10月時点では158社(T&A master No.615)であったのに対して、2016年5月時点で監査等委員会設置会社への移行を表明した会社数は649社(経営財務3262号)と約500社も増加しています。
気になるのは、やはり社外取締役が0名の会社でどのような記載がなされているのかです。経営財務の記事では、ゲンキー(東一、小売業、トーマツ)と住友不動産販売(東一、不動産業、あずさ)の事例が取り上げられてました。
基本的に両社とも適任者がいない旨の記載となっていますが、基本的には社外取締役の選任を前向きに捉えているというニュアンスで記載されています。
”「適任者の選定に至らない」等の説明が多い”とされているような中で以下のような事例もありました。
サイボウズ( 東一、情報通信、あずさ)
当社は社外取締役を選任しておりません。経営判断においては、事業環境を深く理解した取締役によって多角的に議論した上で、迅速な意思決定をすることが重要と考えておりますが、事業環境への理解が不足した社外取締役を置くことによって、意思決定の迅速性が阻害されるおそれがあります。また、変化が激しい当社においては、固定の社外取締役を選任するよりも、適宜必要な知見を有する人材に助言を得る方が、コスト・効率性の観点から望ましいと考えております。
コーポレートガバナンスコードを導入した側と同社の対談を聞いてみたいと思ってしまう記載ですね。