閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

平成28年6月第1四半期決算の留意点

今回は平成28年6月第1四半期決算の留意点についての確認です。

第1四半期から適用となる新基準等は原則として以下の三つです。

  1. 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
  2. 平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い
  3. 税効果会計に適用する税率に関する適用指針
1.繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針

「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」については、早期適用が可能となっていましたが、ほとんどの会社は平成29年3月期の期首からの原則適用を選択しているようですので、会計方針の変更の注記等を検討する必要があります。

当該適用指針の適用については、会計方針の変更として注記するケース、追加情報として記載するケース、何も記載しないケースが考えられます。

(1)会計方針の変更として注記が必要となるケース

適用指針の適用により、以下の三つのケースの取扱いを適用した場合には、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うこととされているため(適用指針49項(3))、会計方針の変更として注記が必要となります。

① (分類2)に該当する企業において、スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産について回収できることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合には回収可能性があるとする取扱い

② (分類3)に該当する企業において,おおむね5年を明らかに超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合には回収可能性があるとする取扱い

③ (分類4)の要件に該当する企業であっても、将来において5年超にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合には(分類2)に該当するものとする取扱い

会計基準等の改正に伴う会計方針の変更による影響額の注記に関してのポイントは、当年度の損益に与える影響及び1株情報に与える影響額の記載は求められていないといという点です。

これは、適用指針49項(5)において「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)10項(5)ただし書きの定めにかかわらず、適用初年度の期首の繰延税金資産に対する影響額、利益剰余金に対する影響額、及びその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等に対する影響額を注記するとされているためです。

ASBJの記載例では以下のような記載案が掲載されています。

(会計方針の変更)
 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 平成28年3月28日。以下「回収可能性適用指針」という。)を当第1四半期連結会計期間から適用し、繰延税金資産の回収可能性に関する会計処理の方法の一部を見直している。
 回収可能性適用指針の適用については、回収可能性適用指針第49項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当第1四半期連結会計期間の期首において回収可能性適用指針第49項(3)①から③に該当する定めを適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と、前連結会計年度末の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額を、当第1四半期連結会計期間の期首の利益剰余金及びその他の包括利益累計額に加算している。
 この結果、当第1四半期連結会計期間の期首において、繰延税金資産(投資その他の資産)がXXX百万円、利益剰余金がXXX百万円増加し、○○○○がXXX百万円増加している。

(2)追加情報として記載するケース

(1)で会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われる①から③以外で、従来の監査委員会報告第66号からの変更について、重要性があると判断した場合には、追加情報として適用指針を適用した旨を記載することになります。

例えば、従来の利益ベースでの判定が課税所得ベースの判定になったことで繰延税金資産の計上額が大きく異なるというようなことがあれば、重要性があると考えられますので、追加情報として記載するということが考えられます。

本来は会社が重要か否かを判断すべきですが、とりあえず「追加情報」として記載しておくというのがよいのではないかという気はします。

(3)何も記載しないケース

追加情報として記載するほどの重要性がないと判断した場合には、注記等は不要ということになります。

2.平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い

この実務対応報告については”平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(実務対応報告第32号)が公表されました”で取り上げましたので、細かい点はそちらをご確認頂くとして、注記事項等を簡単に確認するにとどめます。

今回の変更は「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更」として取り扱われることとなりますが、注記が求められるのは以下の2点となっています。

①会計方針の変更の内容として,法人税法の改正に伴い、減価償却報告を適用し、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備、構築物又はその両方に係る減価償却方法を定率法から定額法に変更している旨

②会計方針の変更による当期への影響額

また、当該注記は建物附属設備又は構築物を減価償却報告の適用初年度に取得したかどうかにかかわらず、平成28年度税制改正に合わせて減価償却方法を定額法に変更する場合に記載が求められるという点に注意が必要です。

3.税効果会計に適用する税率に関する適用指針

この適用指針は既に前期末から適用されているので敢えて取り上げる必要もないかもしれませんが、適用指針の適用時期との関係では、四半期ではこの第1四半期から適用されることとされていますので一応取り上げました。

3月末時点では、改正地方税法等を受けた改正条例が地方公共団体の議会棟で成立していない部分がありましたが、例えば東京都では平成28年6月21日に「東京都都税条例の一部を改正する条例」が成立・公布されています。

東京都では”東京都-平成29年4月以降の事業税超過税率は3.78%になるようです”で記載したとおり、法人事業税所得割の超過税率(年800万円超の所得)は3.78%となり、法定実効税率は30.86%となります。

関連記事

  1. 監査人交代理由は「任期満了」が8割

  2. 平成30年3月期の有価証券報告書作成に係る主な改正点(その1)

  3. 上場企業による不正を発生原因や類型の調査結果

  4. 4月(四半期)決算会社の平成28年度税制改正による減価償却方法の…

  5. 平成27年1月~5月の上場会社における会計監査人の異動は50社-…

  6. 近年の不正の類型-T&A master調査結果




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,946,918 アクセス
ページ上部へ戻る