法人税申告書勘定科目内訳明細書の作り方(その4)-固定資産
今回は”法人税申告書勘定科目内訳明細書の作り方(その3)”の続きとして、「新版 記載例でわかる 法人税申告書 プロの読み方・作り方 (別表/勘定科目内訳明細書/法人事業概況説明書のチェックポイント)」を参考に「固定資産(土地、土地の上に存する権利及び建物に限る。)の内訳書」から確認していきます。
8.固定資産(土地、土地の上に存する権利及び建物に限る。)の内訳書
この内訳書のフォーマとは以下のようになっています。
まず、この内訳書は固定資産の内訳書ですが、「(土地、土地の上に存する権利及び建物に限る。)」とされていますので、構築物、工具器具備品、車両、機械装置などは含まれません。
また「土地の上に存する権利及び建物に限る」とされているので、賃借しているオフィス等の建物附属設も記載対象とはならないと考えられます。ただし、BSの建物勘定残高と内訳書の金額を一致させることを優先するのであれば、そのような建物附属設備もここに記載するということも考えられます。
そもそも、構築物、工具器具備品、車両などは何故ここで記載対象とされないのかですが、償却資産については「減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」に記載されるためとのことです。
そうであるならば、建物も記載しなくてもよいという理屈になりそうですが、「土地や建物だけを記載するのは、これらが他の固定資産に比べていわゆる不動産としての市場価値があるということと、特に売買や賃貸等で資金が異動したり所得が発生したりしますので、課税当局としてもその所有や異動関係をしっかりつかみたいという趣旨によるものと思われます」と参考書籍では解説されています。
他の明細書で把握できない土地の内訳を把握することが本丸で、その土地をどのように使用しているのかを建物の有無等で把握して、不自然な点がないかを把握したいということなのだと思います。
そうだとすると、この内訳書は、土地や借地権の残高はBS残高と一致させるようにするとしても、建物は各土地の上にどのような用途で、どのような広さ、金額の建物があるのかを記載すれば事足りるように感じますので、建物附属設備等を記載して建物残高をBS残高に一致させることにこだわらなくてもよいのではないかと思います。
さて、内訳書の脚注に示されている注意事項は以下の三つです。
- 「期中取得(処分)の明細」の各欄は、期末現在高がないものであっても期中において売却、購入又は評価換えを行った場合に記入する。
- 同一種類又は同一所在地のものについて、多数の売却先若しくは購入先がある場合には、売却先又は購入先ごとに記入する。
- 外国法人又は非居住者から購入したものについては、「売却(購入)先の所在地(住所)」の欄には、国外の所在地(住所)を記入する。
固定資産の内訳書も有価証券の内訳書同様、期中の売却等によって期末残高がなくなったものについても記載が必要となる点に注意が必要です。
また、建物については毎期減価償却によって帳簿価額が減少していきますが、内訳書の「「期中取得(処分)の明細」の欄には、基本的には売買等による異動があった場合に記入しますので、減価償却による減少については特に記載する必要はありません」とされています。
資産サイドが固定資産の内訳書までとなりますので、今回はここまでとします。