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国際取引と消費税(その4)-輸出免税等

今回は国際取引と消費税(その4)として輸出免税等について確認します。

1.輸出免税の適用範囲

輸出取引については消費税が免税となるというのは理解していると思いますが、より正確には以下の要件のすべてを満たしている場合の資産の譲渡等が輸出免税として取り扱われることとなります(基通7-1-1)。

  1. 課税事業者によって行われるものであること
  2. 国内において行われるものであること
  3. 課税資産の譲渡等(非課税資産の輸出等を行うことにより課税資産の譲渡等に係る輸出取引とみなされるものを含む。)に該当すること
  4. 輸出取引又は輸出類似取引に該当するものであること
  5. 輸出取引又は輸出類似取引であることにつき、証明がなされたものであること

ここで「輸出類似取引」とは何かですが、消費税法7条1項5号に定める「前各号に掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの」で、役務の提供をイメージしておけばよいようです。

2.輸出取引又は輸出類似取引とは?

上記のとおり輸出取引又は輸出類似取引に該当するものでなければ、輸出免税の適用は受けられないということになりますので、輸出取引又は輸出類似取引に何が該当するのかが問題となります。

この点については、消費税法7条1項各号および消費税法施行令17条において以下のものが対象取引とされています。

  1. 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付(法7①一)
  2. 外国貨物の譲渡又は貸付け(法7①二)
  3. 国際輸送、国際通信及び国際郵便(法7①三、令17②五)
  4. 外航船舶等の譲渡若しくは貸付け又は修理(法7①四、令17①、②)
  5. 国際輸送用コンテナーの譲渡若しくは貸付け又は修理(令17②二)
  6. 外航船舶等の水先等の役務の提供(令17②三)
  7. 外国貨物の荷役、運送等の役務の提供(令17②四)
  8. 鉱業権、工業所有権等の譲渡又は貸付け(令17②六)
  9. 非居住者に対する一定の役務の提供(令17②七)

個々の詳細は割愛しますが、一つだけ取り上げておくと「非居住者等に対する一定の役務の提供」は、非居住者に対して行われる役務の提供で以下に掲げる者以外のものとされています。

イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管
ロ 国内における飲食又は宿泊
ハ イ及びロに掲げるものに準ずるもので、国内において直接便益を享受するもの

したがって、非居住者に対するイ~ハ以外の役務の提供は輸出免税の適用対象となりうるわけですが、次に「非居住者」の意義を確認する必要があります。

3.非居住者とは?

非居住者とは、外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号に規定する非居住者をいうとされています(法8①、令1②二)。

といわれても、さっぱり理解できませんが、要は、日本国内に住所又は居所を有する自然人及び日本国内に主たる事務所を有する法人を居住者とするとともに、外国法人等の日本国内の支店、出張所その他の事務所も居住者とみなすとされています。

そして、上記の居住者に該当しない自然人及び法人等が非居住者ということになります。

なお、自然人については、日本国内での滞在期間が6か月以上であるかどうかによって居住性を判断することとされ、滞在期間が6か月以上となった場合には居住者に該当することとなります。

居住者・非居住者の判定を1年を基準に行う所得税とは取扱いが異なるので注意が必要です

ここで、非居住者に対する一定の役務提供は輸出免税の適用を受けられるので、外国法人と契約書を締結して外国法人の国内支店等に役務提供を行えば輸出免税を受けられるのかということを考えるかもしれませんが、このような場合は輸出免税の適用を受けることはできません。

これは、事業者が非居住者に対して役務の提供を行った場合に、その非居住者が国内に支店又は出張所等を有しているときは、その役務の提供はその支店、出張所等を経由して行われたものとして、原則として輸出免税の適用はないものとされているためです。

ただし、外国法人が日本国内等に支店等を有していたとしても、本当に外国法人に対する役務提供であることもあり得ますので、以下の要件をすべて満たす場合には、非居住者に対する役務提供として取り扱って問題ないとされています(基通7-2-17)。

  1. 役務の提供が非居住者の国外の本店等との直接取引であり、その非居住者の国内の支店又は出張所等はこの役務の提供に直接的にも間接的にもかかわっていないこと。
  2. 役務の提供を受ける非居住者の国内の支店又は出張所等の業務は、その役務の提供に係る業務と同種、あるいは関連する業務でないこと。

長くなりましたので、今回はここまでとします。

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