監査等委員会設置会社-移行表明含めると約700社
経営財務3278号の”監査等委員会設置会社への移行進む背景は?”という記事で制度導入2年目を迎えた監査等委員会設置会社の導入状況が述べられていました。
この記事によれば、平成28年3月期の株主総会が終了した本年6月末時点で、東証上場3,507社のうち485社(13.8%)が監査等委員会設置会社に移行したとされています。
監査等委員会設置会社に移行するメリットとして、社外取締役の選任負担を軽くするということがよく言われています。そのため、マザーズ市場に新規上場した会社で比較的多く採用されているのかと直近の事例を確認してみましたが、今年の新規上場会社では、監査等委員会設置会社として上場している会社はあまりないようです。
上場後の総会で監査等委員会設置会社に移行している会社もあるかもしれませんが、上場Iの部をざっと確認したところ、マザーズ市場で上場時に監査等委員会設置会社を選択していたのは6月に上場した(株)ベガコーポレーションだけのようです。
マザーズ市場であればとりあえず社外取締役は1名でもよいので、今年上場した会社の場合、上場準備作業等の兼ね合いで監査等委員会設置会社へ移行するのがかえって面倒だったということも考えられます。そうだとすると、マザーズ市場への新規上場会社で監査等委員会設置会社を選択している会社が増えるのは来年くらいからということなのかも知れませんので今後の動向にも注目したいと思います。
監査等委員会設置会社が増加している一方で、従来から認められていた指名委員会等設置会社は全体の2%に留まっているとされています。指名委員会等設置会社の導入が進まない理由としては、「委員会に取締役の選解任議案や報酬決定を委ねるため,抵抗感のある日本企業は依然多い」という意見が紹介されていました。
この他、監査等員会設置会社の移行理由としては、指名委員会等設置会社に近く海外投資家の理解を得やすいというものや、”「監査役会設置会社では2名以上の社外監査役が必要なため、社外取締役を2名以上選任すると、4名以上の社外役員が必要。監査等委員会設置会社であれば、社外役員の合計人数を増やす必要がないため、負担感がない」等の意見もあった。”とされています。
監査等委員会設置会社では、従来の監査役が取締役として、取締役会での議決権を有するようなものなので、議決権行使を通じてコーポレートガバナンスが強化されるという側面もあると言われていますが、やはりコーポレートガバナンスコードへの対応への負担感の軽減を図るというのが主な移行理由となっているようです。
経営財務誌の調査によると、「9月19日時点ですでに移行または今後の移行を表明した会社は合計694社」とのことです。
まだまだ監査役会設置会社が主流ではありますが、他社の動向を踏まえて検討するという会社も相当するあるであろうことを踏まえると、今後も採用社数は増加していくものと考えられます。