閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

株式交付(その4)-株式交付計画の記載事項

株式交付(その3)-手続概要“で記載したとおり、株式交付を実施する場合の手続きの概要は以下のようになっています。

(1)株式交付計画の作成(会社法774条の2)
(2)事前開示・ご開示(会社法816条の2、816条の10)
(3)株主総会の特別決議(簡易手続の場合を除く)(会社法816条の3)
(4)反対株主の株式買取請求(簡易手続きの場合を除く)(会社法816条の6)
(5)債権者異議手続(株式交付親会社の株式以外の対価を交付する場合)(会社法816条の8)

今回は、上記(1)の株式交付計画について確認します。株式交付計画に記載しなければならない事項は会社法774条の3で定められています。条文については文末に記載したとおり色々と書かれていますが、株式交付計画の記載事項については1項で定められています。
ただし、1項5号~9号は、株式交付に際して対価として株式交付親会社株式以外の金銭等を交付する場合に必要な事項となっています。

1.株式交付計画の記載事項(株式交付親会社株式のみを交付する場合)

株式交付親会社株式のみを交付する場合の株式交付計画の記載事項は以下の通りです。なお、以下では種類株式を発行していない会社、株式交付で取得するのは株式交付子会社の株式のみであるケースを前提とします。

①株式交付子会社の商号及び住所(1項1号)
②株式交付で取得する株式数の下限(1項2号)
③対価として交付する株式交付親会社の株式数又はその数の算定方法、株式交付親会社の資本金及び準備金の額に関する事項(1項3号)
④株式交付親会社株式の割当てに関する事項(1項4号)
⑤株式交付子会社株式(及び新株予約権等)譲渡申込期日(1項10号)
⑥株式交付の効力発生日(1項11号)

2.株式交付計画の記載事項(金銭等も交付する場合)

株式交付に際し、株式交付親会社株式以外の金銭等を交付するケースとして、株式交付親会社の社債(1項5号イ)、株式交付親会社の新株予約権(1項5号ロ)、株式交付親会社の新株予約権付社債(1項5号ハ)について記載事項が定められていますが、実務上これらは特殊なケースだと思いますので、一部を現金対価したケースで必要な事項についてのみ確認することとします。

この場合、1.の記載事項に加え以下の事項を株式交付計画で定める必要があります。

⑦対価が現金である旨、金額またはその算定方法(「株式交付親会社の社債及び新株予約権以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数又はこれら算定方法」とされているので、現金対価がある場合は、現金を対価とする部分がある旨とその金額または金額の算定方法を記載することとなると考えられます)1項5号二
⑧株式交付子会社の株式の譲渡人に対する金銭等の割当に関する事項(1項6号)

3.その他

・株式交付で取得する株式数の下限は、対象会社が子会社となる数でなけらばならない(2項)
 株式交付は、子会社でない株式会社を親会社株式を交付することにより子会社化するための制度であるということです。
 
・株式の割当は、株式交付子会社の数に応じて株式交付親会社の株式を交付することを内容とするものでなければならない(4項)
 これはいわば、株式交付子会社の株式を1株100円と評価するのであれば、どの株主に対しても1株100円として計算した金額に相当する株式等を交付しなければならないというもので、特に意識しなくてもそのように処理しようとすると思われます。
 一方で、株式交付は強制的に株式交付子会社の株主から株式を取得するものではなく、あくまで譲渡人の申し込みによって譲渡が成立するものですので、一部の株主が価格に難色を示しているというような場合に、その株主にのみ少し高い価格を提示しても構わないと考えるようなこともありえます。しかしながら、上記の条項によりこのような処理は認められないということになります。

<参考条文-会社法774条の3>

(株式交付計画)
第七百七十四条の三 株式会社が株式交付をする場合には、株式交付計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株式交付子会社(株式交付親会社(株式交付をする株式会社をいう。以下同じ。)が株式交付に際して譲り受ける株式を発行する株式会社をいう。以下同じ。)の商号及び住所
二 株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式交付子会社の株式の数(株式交付子会社が種類株式発行会社である場合にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)の下限
三 株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の株式の譲渡人に対して当該株式の対価として交付する株式交付親会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該株式交付親会社の資本金及び準備金の額に関する事項
四 株式交付子会社の株式の譲渡人に対する前号の株式交付親会社の株式の割当てに関する事項
五 株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の株式の譲渡人に対して当該株式の対価として金銭等(株式交付親会社の株式を除く。以下この号及び次号において同じ。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
イ 当該金銭等が株式交付親会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ロ 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ハ 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項
ニ 当該金銭等が株式交付親会社の社債及び新株予約権以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
六 前号に規定する場合には、株式交付子会社の株式の譲渡人に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
七 株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の株式と併せて株式交付子会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債(以下「新株予約権等」と総称する。)を譲り受けるときは、当該新株予約権等の内容及び数又はその算定方法
八 前号に規定する場合において、株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の新株予約権等の譲渡人に対して当該新株予約権等の対価として金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
イ 当該金銭等が株式交付親会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該株式交付親会社の資本金及び準備金の額に関する事項
ロ 当該金銭等が株式交付親会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ハ 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ニ 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
ホ 当該金銭等が株式交付親会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
九 前号に規定する場合には、株式交付子会社の新株予約権等の譲渡人に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
十 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡しの申込みの期日
十一 株式交付がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)
2 前項に規定する場合には、同項第二号に掲げる事項についての定めは、株式交付子会社が効力発生日において株式交付親会社の子会社となる数を内容とするものでなければならない。
3 第一項に規定する場合において、株式交付子会社が種類株式発行会社であるときは、株式交付親会社は、株式交付子会社の発行する種類の株式の内容に応じ、同項第四号に掲げる事項として次に掲げる事項を定めることができる。
一 ある種類の株式の譲渡人に対して株式交付親会社の株式の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類
二 前号に掲げる事項のほか、株式交付親会社の株式の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容
4 第一項に規定する場合には、同項第四号に掲げる事項についての定めは、株式交付子会社の株式の譲渡人(前項第一号の種類の株式の譲渡人を除く。)が株式交付親会社に譲り渡す株式交付子会社の株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて株式交付親会社の株式を交付することを内容とするものでなければならない。
5 前二項の規定は、第一項第六号に掲げる事項について準用する。この場合において、前二項中「株式交付親会社の株式」とあるのは、「金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)」と読み替えるものとする。

関連記事

  1. 22年3月期の事業報告書、従来よりも早期に作成が必要となる可能性…

  2. 「第二会社方式」とは?(その2)

  3. 新「四半期決算短信様式・作成要領」

  4. 「会社法制(企業統治関係)の見直しに関する中間試案」を確認(その…

  5. 会計帳簿閲覧権の対象となる会計帳簿はどこまで?

  6. 3月決算会社の会社法監査報告書分布状況-JICPA公表




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,856,260 アクセス
ページ上部へ戻る