閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

有給休暇の消化を当年度付与分から優先するのは問題ない?

たまに話題になるのが、有給休暇の消化を当年不要分から優先的に消化するものとしても法的に問題ないかという点です。

これについては、労働基準法では特に定めはなく、通達も特にないので結局のところ解釈によらざるを得ないのですが、厚生労働省労働基準局編の「平成22年版労働基準法 上」では以下のように述べられています。

年次有給休暇権が発生した当該年度にその権利を行使せずに残った休暇日数は、当該年度の終了によって消滅するか否かが問題となるが、法文上年次有給休暇は当該年度に行使されなかった権利は次年度に繰り越される者と解される(昭二二・一二・一五 基発第五0一号)。なお、この繰越を認めた場合において翌年度に休暇を付与するときに与えられる休暇が前年度のものであるか当該年度のものであるかについては、当事者の合意よるが、労働者の時季指定権行使は繰り越し分からなされていくべきと推定すべきである。

上記の通り、当事者間の合意(例えば就業規則での定め)があればそれが優先されるが、そのような明確な定めがなければ、繰り越し分から消化されたと推定すべきという見解が採用されています。

上記の見解は労働法(菅野和夫 著)で述べられているものを引用したものとなっていますが、民法第479条2号により当該年度のものとすべしとの反対説があるとして、『松岡「条解(上)」、寺本「解説」』があげられています。

なお、労働法 第十一版(菅野和夫 著)では、上記の反対説に対して、「弁済の充当に関する民489条2号を引用して、当年の年休の時季指定と推定すべしとの反対説があるが、同号によるべき必然性はない」と記載されていますが、これ以上のことは書いてありません。

では、民法489条2号を引用する反対説とはどのようなものかですが、労働基準において定めがないため民法での定めに従うということになると、民法489条2号では「すべての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する」とされているので、債務者(使用者)の利益が多いものとすれば、未消化分がより少なくなる当年付与分から消化されると解されるというものです。

上記のとおり正反対の結論となる二つの考え方があるので、当事者で明確な合意がなければ、どちらでなければならないというものはないわけですが、特に波風を立てたくないのであれば「平成22年版労働基準法 上」でも繰り越し分から消化を推定すべきという説がメインでとりあげられているのでこれに従っておくのが無難です。

ただし、2014年に日本経団連が作成したIFRS任意適用に関する実務対応参考事例において、有給休暇引当金の事例として取り上げられていた会社数をみると、先入先出法が2社に対して、後入先出方法が5社となっており、後入先出法の社数の方が多くなっており、繰り越し分から消化している会社も比較的多いのかもしれません。

有給の取得率が低いと、どっちから消化されようともあまり影響なかったりするのが悲しいところですが・・・

関連記事

  1. 「インバスケット思考」を読んで

  2. 雇用契約と業務委託契約(その1)

  3. 届出漏れが原因で不支給となっていた手当は遡及して支払う必要がある…

  4. 働きやすい会社ランキング2012(日経新聞社)-追記2(アンケー…

  5. 2021年1月より介護休暇や子の看護休暇が1時間単位で取得可能に…

  6. 平成27度の労働保険の年度更新-改正点は?




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,964,860 アクセス
ページ上部へ戻る