閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

定率法から定額法への減価償却方法の変更は最近6年で400社超に

経営財務3289号のニュースで「29年3月期1Q定額法への変更は69社」という記事が掲載されていました。

同誌では継続的に減価償却方法を定率法から定額法へ変更した会社の社数を集計していますが、上記の通り、平成29年3月期第1四半期で減価償却方法を定率法から定額法へ変更した会社は69社であったとされています。

平成27年3月期は54件、平成28年3月期は53件であったことと比較すると大きな増加となっており、最近6年間ででは440社が定率法から定額法へ減価償却方法を変更しているという集計結果となっています。なお期間別にみると平成26年3月期~平成27年2月が104社ともっとも多くなっています。

上記の記事には第1四半期で減価償却方法を変更した社名が列挙されていますが、いくつか紹介するとカルビー、日清食品ホールディング、シチズンホールディングス、ヤマハ、大日本印刷、NTTデータ、ヤマダ電機、王将フードサービスなどがあります。また、第四銀行をはじめ金融機関での変更も目立ちます。

IFRSを意識して減価償却方法を変更した会社もあると思いますが、平成28年度税制改正によって、税務上、建物附属設備の減価償却方法が定額法しか認められなくなったことにより、支店や店舗展開によって建物附属設備が大きくなるため税務メリットを考慮して定率法を採用していた小売業、飲食業、金融業などが減価償却方法の変更に踏み切ったことが、過去2年と比較して社数が増加している要因の一つとなっているものと推測されます。

試しに株式会社王将フードサービスの平成28年3月期の有価証券報告書の有形固定資産等明細表を確認してみたところ、同社は平成28年度1年間で約53億円の建物を取得していることが確認できました。次に、「設備の状況」を確認してみると「当事業年度中においては、イオンモール旭川西店等、新規に6店舗出店するとともに、浅草橋駅前店等9店舗の改装を行うとともに、東松山工場の新設工事を実施しております。」と記載されており、「主要な設備の状況」において、東松山工場の建物の帳簿価額が約45億円とされていますので、上記の大部分は税務上はいずれにしても定額法を採用しなければならないものであった可能性が高く、同社の場合は、税務上のメリットはあまり関係ないのかもしれません。

ちなみに、変更前の同社の会計方針は、「(1) 有形固定資産 定率法」とされており、繰延税金資産の内訳にも有形固定資産が2,075百万円となっていますので、税務上定額法が強制されている建物についても従来は定率法で減価償却を行っていたことで間違いなさそうです。

同社は平成28年3月期から単体決算となっているので、提出会社の経営指標でみると、過去5年の実績は以下のようになっています。
osho_5year

大まかなトレンドとしては売上横ばい、経常利益減少傾向と見えます。だとすると、平成28年3月期に新設した東松山工場の減価償却費負担を軽減したかったというのが変更の理由なのではないかと推測されます。

同社の平成29年3月期第1四半期報告書では、減価償却方法の変更理由は以下のように記載されています。

(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)
(有形固定資産の減価償却方法の変更)
当社の有形固定資産の減価償却の方法については、従来、定率法を採用しておりましたが、当第1四半期会計期間より定額法に変更しております。
 当社は、旗艦工場となる東松山工場の当第1四半期会計期間における本格稼動を契機として、有形固定資産の使用状況を検討いたしました。
 この結果、当社の有形固定資産は耐用年数にわたり安定的に稼動する状況となっており、今後は減価償却費を耐用年数にわたって均等配分することがより適切であることから、当第1四半期会計期間より定額法に変更しております。
 この変更により、従来の方法に比べて、当第1四半期累計期間の営業利益は240百万円、経常利益及び税引前四半期純利益はそれぞれ241百万円増加しております。

 
年度での影響額は上記を単純に4倍することはできないとしても、同社が開示している平成29年3月期の通期業績予想は売上高が約777億円、経常利益が68億円なので、減価償却方法の変更がなければ、経常利益は前年を下回り、50億円台に落ち込んでいたかもしれません。
 
個人的にはリーズナブルな価格でおいしいと思うので、同社にはがんばって貰いたいですが、このままいくと餃子も値上げかな・・・

関連記事

  1. IFRSの強制適用が延期されても定額法への変更は進んでいるようで…

  2. IASBの教育文書「減価償却とIFRS」は定率法の採用に踏み切る…

  3. 4月(四半期)決算会社の平成28年度税制改正による減価償却方法の…

  4. 落ち着いたかと思いきや定率法から定額法への変更が増加

  5. 車両買換え時に下取価格が時価を上回る場合の処理はどうなる?

  6. 平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱…




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,946,944 アクセス
ページ上部へ戻る