2017年4月から手取額が同額の場合も定期同額給与扱いに-平成29年度税制改正
税務通信3451号の税務の動向で平成29年度税制改正による定期同額給与の対象範囲の拡大が取り上げられていました。
これは平成29年度税制大綱において「定期同額給与の範囲に,税及び社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額である定期給与を加える。」というものが織り込まれていることによるもので、中小企業も対象となるとされています。
定期同額給与は法人税法34条1項1号で「その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(次号において「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与」と定められており、ここでいう「支給額が同額」は現行法においては「支給する給与の「額面」が同額でなければ損金算入が認められないものと執行されているようだ」(税務通信3451号)とのことです。
これが、平成29年4月以降は「手取り」が同額の場合についても支給額が同額とみなされることとなり、損金算入が認められるということです。
国内で手取額からグロスアップして給与額を計算しているのは通常、外国人の労働者が対象だと思われますが、外国人が役員だとグロスアップ計算した場合、社会保険料率の変動や、前年所得をベースに翌年課税される住民税などにより、額面が定額にならいということがありました。
冒頭の通り、今回の改正は中小企業も対象となるものですが、税務通信の記事でも、「外国人役員に対して「手取り」で役員給与を支給することの多い外資系企業などから改正を求める声があったようだ。」とされており、主として影響があるのは外資系企業あるいは大手企業であると思われます。