リストリクテッド・ストックは業績連動給与に該当するのしないの?
平成29年度税制改正による役員給与の主な改正内容の1つに、事前確定届出給与について、利益その他の指標を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付き株式による給与が対象から除外されましたというものがあります。
しかしながら、改正法人税法34条5項において「業績連動給与」は以下のように定義されています。
5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。
上記からすると法人税法34条1項本文で「次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」とされているところの1つである業績連動給与に特定譲渡制限付株式が含まれることとなるのではないかということになりますが、そうはならないというのは冒頭のとおりです。
理由は、業績連動給与の損金算入要件について規定する法人税法34条1項三号イでは、「交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、・・・」と規定されており、「特定譲渡制限付株式」という文言が出てこないためとのことです(T&A masetr No.695「RSが業績連動給与に該当しない根拠は」)。
平成29年度税制改正についてまとめられた書籍をみると主な改正ポイントとして取り上げられているので、改正の内容については広く認識されることと思われますが、いざ条文に遡って確認してみた場合に混乱しそうな規定の仕方になっています。
「平成28年度税制改正の際には、業績に連動する譲渡制限付株式報酬も業績連動給与の対象になり得ると理解されていただけに注意したいところだ」(同上)とされていますので注意しましょう。