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平成29年度税制改正(その6)-スクイーズアウトに関する組織再編税制等の見直し

平成26年会社法の改正によりスクイーズアウトの手法が多様化したことに伴い、平成29年度税制改正により組織再編税制等が体系的に整理されました。

ここで、スクイーズアウトとは、金銭等を交付することにより少数株主を排除し、対象会社を100%子会社化(又は吸収合併)することを意味します。

スクイーズアウトの方法としては、全部取得条項付種類株式、株式併合、株式売渡請求を利用する手法の他、現金対価の吸収合併や株式交換がありますが、従来は経済的な効果は同様であるにもかかわらず、課税関係は異なる取扱となっていました。

スクイーズアウトに関する平成29年税制改正の主な内容は以下の2つとなっています。

  1. 全部取得条項付種類株式、株式併合、株式売渡請求(以下「全部取得条項付種類株式」とします)による買収対象法人の完全子会社化が組織再編税制の対象となりました。
  2. 発行済株式の2/3以上を有する場合の合併、株式交換において、対価が現金であっても適格合併、適格株式交換として取り扱われることとなりました。
1.全部取得条項付種類株式等によるスクイーズアウト

会社法上の組織再編行為に該当しない場合であっても、全部取得条項付種類株式、株式併合、株式売渡請求により、親会社による完全支配関係が生じる場合には、組織再編税制が適用されることとなりました。

税制適格とされる要件は、株式交換の適格要件と同様以下の4つとなっています。
①支配関係継続要件
②金銭等不交付要件
③従業者継続従事要件
④主要事業継続要件

2.現金対価の適格合併及び適格株式交換によるスクイーズアウト

合併および株式交換の適格要件には、金銭等不交付要件が設けられていますが、今回の改正により、現金対価の吸収合併又は株式交換であっても、支配株主がいる場合(*1)には、少数株主に対して行使した金銭等を対価から除外して適格要件の判定をすることとされました。

(*1)合併法人又は株式交換完全親法人が被合併法人又は株式交換完全子法人の発行済株式等(自己株式等を除く)の2/3以上を有する場合

なお、現金対価の要件緩和については、合併及び株式交換のみに認められており、会社分割や株式移転などの組織再編には認められていないという点には注意が必要です。

3.その他(適用時期等)

上記1.および2.ともに平成29年10月1日以降に行われる組織再編について適用されるとされていますので、適用時期については注意が必要です。

以上のほか、みなし配当が生ずることとなる自己株式の取得から、全部取得条項付種類株式に係る定めを設ける旨の定款変更に反対する株主からの一定の買取請求に基づく取得が除外されることとされています。

今回の改正により、会社法上の組織再編行為でないスクイーズアウトを実施する場合、税務上は組織再編行為として取り扱われる可能性があることとなったため、税制適格要件の検討も今後は必要となるという点に注意が必要です。

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