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収益認識会計基準適用を考慮したと思われる会計方針の変更事例

経営財務3322号のニュースに”本誌調査 会計方針の変更、2016年4月~2017年月期に42社・45件”という記事が掲載されていました。

会計方針の変更内容を内容別に分類すると、有形固定資産の減価償却方法を定率法から定額法へ変更しているものが27件と最も多くなっており、次いでたな卸資産の評価方法が8件となっています。

減価償却方法の変更の件数が多くなっているのは、ここ数年の傾向そのままといえます。そして、収益及び費用の計上基準の変更は3件と多くないものの、内容を確認してみると、現在公開草案が公表されている収益認識基準の適用を考慮して会計方針を変更したのかなと思われる内容の変更が見られるようになっています。

例えば、キューピー株式会社は平成28年11月期において、以下のとおり、リベートの処理方法を販管費として計上する方法から売上から控除する方法へ変更しています。

売上の計上基準の変更
当社グループでは、販売促進の目的で取引先に支払う費用の一部(以下、販売促進費等)を、従来は支払金額が確定した時点で主に「販売促進費」に含めて「販売費及び一般管理費」に計上しておりましたが、当連結会計年度より売上を計上する時点で売上高から控除して計上する方法に変更しました。
当社グループを取り巻く経営環境において、より一層の競争激化により、販売促進費等が恒常的に発生しております。そのため、販売促進活動と売上との対応関係を明確化することで、より適時・適切な利益管理を徹底していくことが必要となってきております。
このような経営環境のもと、当年度から開始する中期経営計画の策定を契機に、当社グループにおいて経営成績の重要な指標の一つである売上の計上基準を見直すため、改めて販売促進費等の範囲・取引実態等を検証したところ、販売促進費等が販売条件の一構成要素となっている状況が判明しました。この結果、販売促進費等は売上を計上する時点で売上高から控除して計上する方法が、経営成績をより適正に表現できると判断しております。また同時に、売上および販売促進費等の管理方法の見直しを行い、業務プロセス検討・システム構築等の体制整備を進めてきたところ、その体制が整ったことにより変更するものであります。
当該会計方針の変更は遡及適用され、前連結会計年度については遡及適用後の連結財務諸表となっております。
これにより、遡及適用前と比較して、前連結会計年度の売上高、売上総利益はそれぞれ28,417百万円減少、販売費及び一般管理費は28,330百万円減少、営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益はそれぞれ86百万円減少しております。また、前連結会計年度の連結貸借対照表は未払費用、繰延税金資産(流動資産)がそれぞれ2,335百万円、598百万円増加しております。
(以下省略)

色々記載されていますが、前年度(平成27年11月期)の販管費の主な内訳は以下のようになっています。

”主に「販売促進費」”なので販促費以外で計上されている部分もあるわけですが、前年において販促費として計上されていた金額が234.6億円、遡及修正後の販促費が34.6億円で約200億円の減少に対して、遡及修正により売上から減額処理されたのが284.1億円なので、比較的大きな差が生じています。他はどの勘定で処理されているのかを比べてみると、配送費及び保管料が遡及修正前後で332.8億円から249.7億円と83.1億円減少しており、概ね両者の合計を売上から減額する方式に変更したということのようです。

前年の給与手当が206.6億円、広告宣伝費が87.2億円であることからすると、上記の規模の金額で重要性が高いと思われる項目について「改めて販売促進費等の範囲・取引実態等を検証したところ、販売促進費等が販売条件の一構成要素となっている状況が判明しました」というのは、本当であれば大丈夫かなという気はします。とはいえ、明確な会計基準はなかったとはいえ、一般的には売上高から控除するのが妥当といわれていたことからすると、それらしい理由を記載しなければならなかったということではないかと推測されます。

「我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)」(平成21年7月9日)では、リベートの処理について、「得意先に対するリベートの支払が販売条件決定時に考慮されていれば、それが得意先における販売促進費等の経費の補填であることが明らかな場合を除き、リベートを売上高から控除することが適切と考えられる」と述べられており、これに対応して、「販売促進費等が販売条件の一構成要素となっている状況」が初めて明らかとなったので、会計方針を変更しますということだと思われます。

また、堀場製作所は平成28年12月期において、収益認識基準を出荷基準から「据付完了日もしくは着荷日に収益を認識する方法」に変更しています。変更の理由は、「海外連結子会社が、従来から国際会計基準または米国会計基準に従って、契約条件等に基づき主として据付完了日もしくは着荷日に収益を認識していること、及び、据付作業に長期間を要する製品の売上が増加傾向にあることから、新たな基幹業務システムの導入を契機として、収益の実態をより適切に反映させるために行いました」とされています。

「据付作業に長期間を要する製品」についても、従来は出荷基準であったというのはどうなのだろうという点はありますが、会計方針の変更が売上に与える影響額は約10億円とされているのに対して、同社の売上高は約1700億円であり、従来は重要性の観点から特に問題とするほどのものではなかったということのようです。

収益認識基準が適用開始後、何れにしても収益認識基準を見直す必要に迫られるのであれば、対応可能なものは会計方針の変更として早いうちに変更してしまおうというのは一つの考え方であり、今後、このような事例は増加してくるのではないかと思います。

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