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消費税法上の「事業」に規模は関係ない

消費税法において、資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供をいうとされています。

具体的には以下の要件を満たすものが課税取引となるとされています。

  1. 国内において行うもの
  2. 事業者が事業として行うもの
  3. 対価を得て行うもの
  4. 資産の譲渡・資産の貸付け・役務の提供であること

上記は消費税の基礎として、最初に説明されるようなことでありますが、消費税法でいうところの「事業として」の「事業」には規模は関係ないということをあらためて認識しました。

消費税において「事業」の定義規定は置かれていませんが、消費税法基本通達5-1-1において「事業として」の解釈が以下のように示されています。

5-1-1 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう。(平23課消1-35により改正)
(注)
1 個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は、「事業として」には該当しない。
2 法人が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、その全てが、「事業として」に該当する。

「反復、継続、独立して行われること」とされているだけで、一般的に「事業」と考えられる規模か否かについては特に問題とされていません。この点、所得税法において不動産の賃貸を行っている場合の、「事業」に該当するかどうかの判断とは異なります。

所得税基本通達26-9では以下のとおり述べられています。いわゆる5棟10室基準といわれるものです。

(建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定)
26-9 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。
(1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

この取扱いが頭をよぎると、「事業」というからには、消費税でもそれなりの規模が必要だろう考えてしまいますが、上記の通り、消費税法においては規模は「事業」であるか否かの判断要素とはなっていません。

したがって、例えば個人で所有する不動産(1部屋)を法人に対して、月20万円の賃料で事務所として賃貸していた場合、所得税法においては事業的規模に該当しないこととなりますが、消費税法上は、対価を得て反復、継続、独立して行われているので「事業」に該当するということになります。

もっとも、消費税法においては課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者となりますので、「事業」に該当するとは思っていなかったため、課税取引とは考えていなかったという場合であっても、結果的には問題ないとケースも多いと思います。

そういった意味からすると、消費税においては免税事業者の基準が「事業」の判定の基準として機能しているとも考えられそうです。

当たり前と当たり前ですが、税に関する法律であっても違う法律であれば、「事業」という同じ用語の意味も捉え方が変わりうるということを改めて考えさせられました。

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