IFRS適用検討会社数はこの位が限界か?
東京証券取引所は2017年7月20日に”「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析”を公表しました。
分析対象会社数は3,537社で、このうち2,358社が2017年3月期決算の会社となっています。
まず、IFRS適用済会社数は125社で前年同期の調査結果と比べ40社の増加となっています。一方で、IFRS適用決定会社は27社で、前年比3社減少となっていますが、ほぼ横ばいといってよいのではないかと思います(率で考えると10%減ではありますが・・・)。
次に、IFRS適用を決定していないものの適用を予定していると開示を行っている会社は19社で前期比7社減少となっています。減少分は適用決定に移行したものと推測されます。
よって適用済、適用決定、適用予定の合計社数は171社で前年比30社の増加となっていますが、適用決定+適用予定は10社減少と、IFRS任意適用会社の増加の勢いがなくなってきているようです。
最後にIFRS適用に関する検討を実施している会社は214社で、前年比19社の減少となっています。「IFRS適用に関する検討を実施している」という開示を行っていない会社が、IFRS適用を決定するということもありえるものの、適用済、適用決定、適用予定、適用検討会社の合計が、IFRS任意適用の当面の最大値とすると約380社となります。
仮にこれが達成されれば、当初目標の300社をクリアできますが、検討の結果、任意適用は行わないという選択肢も当然ありえます。検討を実施している会社の半分くらいが、最終的にIFRSの任意適用にこぎつければ、おおむね300社となるもののの、個人的にはそれほど簡単な数値ではないと考えています。
ちなみに、2017年6月末時点におけるIFRS任意適用済会社など171社の時価総額は188兆円で、東証上場会社の時価総額の約30%となっているとのことです。さらに任意適用検討会社214社を加えると、時価総額の合計は322兆円となって、東証上場会社の時価総額の52%を占めることとなると分析されています。
基本的に、時価総額が大きい会社がIFRSを任意適用していると思われますが、反対にIFRSを任意適用すれば時価総額が上昇する方向に作用するのかというのは気になるところです。海外の機関投資家ですら、IFRSを適用していない会社には投資をしないというわけでもないので、そもそも時価総額がそれほど大きくない大部分の上場会社はIFRSの任意適用というものがあるということは認識しているという程度にとどまっているということなのではないでしょうか。