1歳6か月に達する日はいつのこと?-改正育児・介護休業法施行前に再確認
育児介護休業法が改正され、来月1日(2017年10月1日)より施行されます。今回の改正の主な内容は、最長で子どもが2歳に達するまで育児休業を再延長することができるようになったというものです(改正育児・介護休業法第5条4項)。
従来は、認定保育所等に申込をしているものの一杯で入れなかった場合など、一定の場合において、子が1歳6か月に達するまで育児休業の延長が認められていましたが、これが更に6か月延長され、最長2歳に達するまで認められることとなりました。
ポイントは子どもが1歳6か月に達した時点で再度要件を満たしているかどうかが判断されるという点です(無条件で2歳まで延長が認められるわけではありません)。
さて、ここで普通の人が勘違いしやすいのが「〇〇歳に達する日」という表現です。育児休業に限らず、就業規則で定年を定める条文などでも使われていることがある表現です。
多くある勘違いが、「〇〇歳に達する日」=「〇〇歳の誕生日」という認識ですが、「〇〇歳に達する日」は誕生日の前日を意味します。したがって、仮に就業規則に定年が60歳に達した日とあれば、60歳の誕生日ではなく、その前日が定年による退職日ということになります。
たかだか1日ではありますが、1日が誕生日の方は、前月が退職日となると社会保険料をはじめ、意外に影響することが多かったりするので注意が必要です。
とはいえ、基本的に「〇〇歳に達する日」というのは、誕生日の前日と理解しておけば、基本的に迷うことはありません。
では「1歳6か月に達した日」の場合にはどうなるのかですが、基本的には誕生日の応当日の前日となります。例えば誕生日が4月15日であれば、翌年の10月15日の前日である10月14日が1歳6か月に達した日となります。
これは特に難しくもないですが、悩む可能性があるのは31日生まれの場合にはどうなるのかです。例えば3月31日生まれの場合、6か月後の応当日は9月31日ということになりますが、9月は30日までしかないので、この場合、9月30日が応当日で達した日が29日となるのか、本来は31日なのだから30日を達した日と考えるのかが問題となります。
結論としては、このような場合、30日が達した日となります。理由は、以下の民法143条2項但書の定めによります。
(暦による期間の計算)
第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
基本的には応当日の前日に期間が満了するものの、月単位や年単位で期間を定めた場合に応当日がない場合は、その月の月末で期間が満了するとされています。そして、年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)という法律で年齢計算については、上記民法143条の規定を準用するとされていますので、1歳6か月に達した日に相当する応当日がない場合には月末を「達した日」とすればよいということになります。
育児休業が最長で子が2歳に達する日まで延長されたことに伴い、育児休業給金の支給期間も子が2歳に達する日の前日で延長されました。要は、誕生日の前々日までとなり、これまたわかりにくいですが、もらえる限りはそれほど大きな影響はありません。
しかしながら、育児休業給金を子が2歳に達するまで再延長する場合には、子が1歳6ヵ月に到達した時点で、改めて「保育所等への入所を希望し、申し込みを行っているが、子の1歳6ヵ月に達する日後の期間において実施が行われないこと」を証明することが必要となります。
たった1日の違いで育児休業給付金が打ち切られてしまうという可能性もありますし、市区町村によっては、入所希望日を各月1日に限定しているところもあるそうなので、このようなケースでは特に注意が必要となります。