仮想通貨の期末評価は、活発な市場があれば時価評価になるようです
T&A masetr No.711に「”活発な市場”は仮想通貨の流動性で判断」という記事が掲載されていました。
この記事によると、ASBJは現在「仮想通貨に係る会計上の取扱い」について検討を開始しており、11月頃に実務対応報告の公開草案を公表する方針とのことです。
実務対応報告では、資金決済法上の仮想通貨とすることを前提とし、会計処理としては、「活発な市場が存在する場合」には時価によって貸借対照評価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理する方向になっているとのことです。
ここでいう「活発な市場」をどのように判断するのかですが、この点については、「複数の仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所で取り扱われているかどうかを要件とせず、当該仮想通貨が売買・換金を行うことが可能な程度に十分な流動性を有しているかどうかの観点から、活発な市場か否かの判断を行う方向になっている」とのことです。
当初は、複数の仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所で取り扱われているかを判断基準とする方向で検討されていたようですが、業界団体に意見聴取した結果、複数の仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所で取り扱われているか否かだけでは活発な市場であるかの判断基準として不十分であるという意見が聞かれたため、上記のような方向になったとされています。
2017年10月6日時点で仮想通貨交換業者として11社が登録されていますが、取り扱っている仮想通貨の種類をみると、1社のみが取り扱っている仮想通貨もいくつかみられます。取扱業者が1社であっても十分な流動性を有していれば活発な市場があるということになるわけですが、とはいえ、一般的に考えるとそのような場合は十分な流動性を有しているのといえるのかが問題となりそうです(そもそも一般事業会社が、取扱交換業者の少ない仮想通貨を保有する可能性は低いと思われますが・・・)。
また、時価の算定方法についても、最も取引が活発な仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所の取引価格を使用することとする方向で検討されていたとのことですが、この点についても業界団体から実務上の対応が難しいとの意見があったため、自己の取引実績の最も大きい仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所における取引価格を市場価格として使用する方向で検討されているとのことです。