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「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」-未上場企業は費用計上不要

2018年1月12日にASBJは実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」を公表しました。

本体部分は9項からなる短い実務対応報告ですが、公開草案に多数の反対のコメントが寄せられたものの、基本的に公開草案のとおり確定されています。

この実務対応報告は、一言でまとめれば、平成30年4月1日以降に従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を発行する場合には、ストック・オプション会計基準に従って処理しなければならないというものです。

以下具体的な内容を確認していきます。

1.適用範囲

適用範囲ですが、実務対応報告2項において「概ね次の内容で発行される権利確定条件付き有償新株予約権を対象とする」として以下の9つが示されています。

  1. 企業は、従業員等を引受先として、新株予約権の募集事項(募集新株予約権の内容(行使価格、権利確定条件等を含む。)及び数、払込金額、割当日、払込期日等)を決議する。当該新株予約権は、市場価格がないものを対象とする。
  2. 募集新株予約権には、権利確定条件として、勤務条件及び業績条件が付されているか、又は勤務条件は付されていないが業績条件は付されている。
  3. 募集新株予約権を引き受ける従業員等は、申込期日までに申し込む。
  4. 企業は、申込者から募集新株予約権を割り当てる者及びその数を決定する。割当てを受けた従業員等は、割当日に募集新株予約権の新株予約権者となる。
  5. 新株予約権者となった従業員等は、払込期日までに一定の額の金銭を企業に払い込む。
  6. 新株予約権に付されている権利確定条件が満たされた場合、当該新株予約権は行使可能となり、当該権利確定条件が満たされなかった場合、当該新株予約権は失効する。
  7. 新株予約権者となった従業員等は、権利行使期間において権利が確定した新株予約権を行使する場合、行使価格に基づく額を企業に払い込む。
  8. 企業は、新株予約権が行使された場合、当該新株予約権を行使した従業員等に対して新株を発行するか、又は自己株式を処分する。
  9. 新株予約権が行使されずに権利行使期間が満了した場合、当該新株予約権は失効する。

ここでのポイントは「概ね」とされているので、上記に類似しているものは、実態を判断して対象となり得るという点です。

2.ストック・オプション会計基準が適用される理由

当該実務対応報告で処理方法が確定した以上、実務処理上、ある意味どうでもよいというところもありますが、反対コメントも多かったので簡単に確認しておくと以下のような理由が結論の背景に記載されています。

まず、従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引が、ストック・オプション会計基準第2項(4)に定める報酬としての性格を有しているのかは、勤務条件が付されている有償新株予約権と勤務条件は付されていないが業績条件は付されている有償新株予約権によって結論は変わりうるとされています。

その上で、勤務条件及び業績条件が付されている有償新株予約権については、以下の理由を勘案するとストック・オプション会計基準第2項(4)の報酬としての性格を併せ持つと考えられるとされています(実務対応報告20項)。

①付与時に従業員等が一定額の金銭を払い込むという点を除くと、ストック・オプション会計基準が想定している取引に類似している。

②引受先を従業員等に限定して権利確定条件付き有償新株予約権を付与するのは、企業が追加的なサービスの提供を期待しているためと考えられる。

③権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引を実施した企業の大半は、勤労意欲の増進等のインセンティブ効果を目的に一つに掲げており、追加的なサービスの提供を期待していると考えられる。

④一定期間のサービス提供を期待せずにその権利確定条件付き有償新株予約権を従業員に付与する意義を合理的に説明するのは困難である。

⑤業績条件が付されている権利確定条件付き有償新株予約権を割安と考えて従業員等が募集に応じた場合、業績条件が満たされないと権利を得られないため、インセンティブ効果を有することとなり、企業は従業員等から追加的なサービスの提供を期待して、有償新株予約権を発行していると考えられる。

次に、勤務条件は付されていいないが業績条件は付されている有償新株予約権については、上記の理由に加えて、以下の理由から、ストック・オプション会計基準第2項(4)に定める報酬としての性格を併せ持つとしています。

①有償新株予約権に付される業績条件は、在職期間内に権利確定するものでるのが通常であるので、勤務条件が明示されていなくても、条件の達成・不達成が確定するまでの期間は勤務することが期待されていると考えられる。

②ストック・オプション会計基準第2項の報酬の定義上、勤務条件の有無は関係ない。

3.会計処理及び開示、適用時期

会計処理及については、ストック・オプション会計基準5項から8項に準拠した取扱いが定められています。注記についてもストック・オプション会計基準第16項および適用指針24項から35項に従った注記を行うとされています。

適用時期については、平成30年4月1日以後適用するとされていますが、実務対応報告公表日以後適用することができるとされています。

4.未上場企業の取扱いは?

実務対応報告第36号では未上場企業が有償新株予約権を付与した場合の取扱は別段定められていませんが、実務対応報告36号8項において「本実務対応報告に定めのないその他の会計処理については、ストック・オプション会計基準及びストック・オプション適用指針の定めに従う。」とされています。

したがって、未上場企業については、ストック・オプション会計基準13項の「未公開企業については、ストック・オプションの公正な評価単価に代え、ストック・オプションの単位当たりの本源的価値の見積りに基づいて会計処理を行うことができる」という定めが適用されることとなります。

一般的に、未上場企業がストック・オプションを付与する場合、権利価格が純資産価額等で算定された付与時点の株価よりも高く設定されることにより本源的価値が0となることが通常なので、実務対応報告の適用開始後に未上場企業が有償新株予約権を発行した場合も、費用計上は不要となるケースが通常であると考えられます。

また、「公正な評価単価は付与日において算定し、ストック・オプション会計基準第10 項(1)に定める条件変更の場合を除き見直さない」(実務対応報告5(4)①)とされていますので、付与後に上場しても、原則として費用計上は不要となります。

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